Dr. Biology (生物博士) , Mr. Ito (非常勤講師 理科担当 伊藤先生)

今回は、私の前に座っていらっしゃる、伊藤先生からの興味あるお話です。
先生は男性で、非常に穏やかな先生で、朝早く学園に出勤され、学園内の自然を観察しています。
ここで紹介されるのは金原用水で何と食用にもなるカニが生息していることを発見された、という話です。
そのほか、ドジョウもかなり多く、また小さいアメリカザリガニが生息していることや、カラス(ハシブトガラス、ハシボソガラスの違いだとか)シジュウカラなど、学園には実のなる木が多く(サクランボ、スモモなど)、それを食べる鳥類だとか、電気虫などの昆虫、はたまた、隆夫先生も加わり、以前タヌキ、ハクビシンも出現したなど、我が学園には生物学的に知られざる世界があるということを改めて知り、皆さんにご紹介することにしました。
以下、伊藤先生の登場です。
学校のなかを流れている用水で、観察することができる生き物を紹介します。
静思堂の近くの用水を、注意深くゆっくりとのぞいてみましょう。どんな生き物が観察できますか。水面にはたくさんのアメンボが浮いています。水中では、驚いたアメリカザリガニが勢いよく後ろに泳ぎます。さらに注意深く観察すると、メダカやドジョウの姿も観察できるはずです。
時間に余裕があるときは、しばらく動きを止めて用水のなかをじっくり観察してみましょう。人の気配を感じると穴の中に隠れてしまうので、その正体を確認することは難しいですが、体長(甲幅)が約5cmのカニの姿がみえます。これは、モクズガ二は食材としても有名なチュウゴクモクズガニ(上海蟹)に近い種です。モクズガには、はさみ(鉗脚)に藻屑のような毛が生えているのが特徴です。
用水でみられるモクズガニは、体長が小さいので食用には適しませんが、静岡県内では奥浜名湖や伊豆地方でよく食されています。ゆでると身もカニミソも味が濃く、おいしいです。
川に生息するモクズガニですが、幼生は塩分濃度の高い海でないと成長できません。そのため一生のあいだに海と河川とを回遊する「通し回遊」の習性が生活史にみられます。小さなからだで海から遡上してきたことを考えると、姿をみかけるたびに「がんばって生きろよ」と声を出さずに応援しています。

私が在学中から金原用水にはザリガニがいたということ、現在の生活会館の前は、池があり、ちょっとしたトトロ世界があったことを思い出されます。
在校生には今すぐ学園の別の姿を、卒業生や一般の方々には是非、10月4,5日の学園祭にいらしていただき学園そのものを御覧いただけたら、と思います。

文責 新村 嘉奈子