西遠の校舎にある鏡には、
様々な言葉が書かれています。
その中で、一番の人気は、東館2階に向かう西階段のこの言葉ではないでしょうか。
「できないのではない。
ただ自分は、
やろうとしないだけだ。」
今の東館に育った生徒たちは、朝な夕なこの言葉に出会います。
卒業生の中には、この言葉が忘れ得ぬ人生の教訓だとする人も少なくないでしょう。
実際、100周年記念誌にも、この言葉を挙げる卒業生が複数紹介されています。
この言葉は、前学園長の岡本富郎先生の著作「黄金の鋲」の中にあります。
「努力の美しさと きびしさの尊さ」という文章の中で、
ある小児マヒの治療施設を訪れた富郎先生が、
転んでしまった幼児を起こそうとして看護師さんに止められた体験を通じて、次のように書かれているのです。
「わたしたちは、『あれができない、これは自分にはだめだ』と自分を惜しげもなく投げ出して、あきらめることがよくあります。やる努力、やる熱意ももたず、自分を勝手に評価して劣等感を抱く。劣等感を抱く前に、倒れては起き起きては倒れる、あの苦しさにめげず、努力している子どもたちの姿を思い浮かべてください。『できないのではない。ただ自分は、やろうとしないだけだ』ということを反省して、自分をあきらめず、どこまでも、自分の中に潜んでいる可能性を信じて努力を重ねて下さい。私は、小児マヒの治療施設の参観で、子どもたちの涙ぐましい努力の姿から、そして看護婦さんの愛情のあるきびしさの態度から、人間としてもっとも尊く、美しいものを学び得たような気がいたしました。」
鏡に書かれたこの言葉には、富郎先生のこんな体験がありました。
私達もまた、逃げ出したくなったり、あきらめようと思ったりした時、
この言葉を心によみがえらせて、
もう少し努力する、一歩前進する勇気を持つ、
そういう生き方をしたいものです。