先人の言葉  4

「この像を見た時、いつか思いがけない美しさと希望を見い出してくだされば、それでいいのです。」

彫刻家 水野欣三郎先生


学校誌「友情」66号には、「パンドラの像」と題して、もうすぐ中学館の丸庭に立つ予定の「希望の灯」像について紹介された記事が載っています。
66号は、昭和37年7月5日の発行です。
当時の友情編集委員は、パンドラにまつわる神話を紹介しながら、次のように書いています。
「希望というもの、それはその後幾たびとなく私たち人間を救ってくれました。そしてこれからも救ってくれるのです。『人間はどんな不幸の中でも、よくさがせば幸福はひそんでいる』この言葉を校長先生は、パンドラの像と共に私たちに送って下さるのです。高さ2メートル50センチ、白いセメント造りの美しい像。「この像を見た時、いつか思いがけない美しさと希望を見い出してくだされば、それでいいのです」と作者の水野欣三郎先生は私達に話してくださいました。」

「希望の灯」像は、その後移設され、現在は静思堂の南、緑の木々に囲まれて静かに立っています。
そして、9月に美しく改修され、その白さもいよいよ輝くものとなりました。
改修工事を終えたこの像に対面した時、私は、まさに、「思いがけない美しさと希望」を見出したように思いました。


「愛の灯」像の作者でもあり、浜松の高名な彫刻家でいらっしゃる水野欣三郎先生のこの言葉。
50年以上の時を経て、重みある言葉として甦ります。
再び「希望の灯」像の下に立ち、静かにかみしめたい言葉です。