今日は、高校の講堂朝会でした。
九州研修旅行も終わり、4年から6年が一堂に会する久しぶりの機会です。
5、6年生に聞きました。
「九州研修旅行で、黄色いラインを褒められたこと・黄色いラインで得したことがあった人は?」
5年生でたくさん、6年生も思い出しながら数名、挙手してくれました。
「黄色いライン、かわいいね」
「お行儀がいいわね」
「また、今年も、黄色いラインの生徒さんが来た。嬉しいねえ」
・・・
九州で、西遠の制服を見た皆さんが、
懐かしがって声を掛けてくれるのは、
過去に九州を訪れた多くの西遠の先輩達の振る舞いがすばらしかったからであり、
そういう歴史に支えられて、今年行った5年生も褒められたのだと思います。
これから行く4年生も、
5年生や6年生が九州で立派な振る舞いをしていたことで、
そして更に上の先輩たちが築いてきてくれたものの上に立って、
来年、九州で素敵な思い出を作ることができるでしょう。
研修で訪れる九州での振る舞いだけでなく、
日頃から西遠の生徒が目指すべき振る舞い方というものがあると思います。
西遠の教育が目指しているのは、
「品位」「自主性」「自立性」「高い志」を持った女性の育成です。
そういう生徒を育てるために、教科指導や進路指導、行事や部活、生徒指導があります。
西遠は規則が厳しくて嫌だ、と思う生徒もいるでしょう。
では、なぜ女子校って、厳しいのでしょう。
「男子校、共学校の方が、自由度はあるだろう。
女子校には、塀(へい)があって、蓋(ふた)がある。
囲まれた制約の中で、生徒は守られて育つ。
不自由だと思うところは、どうしたら大人が「うん」と言うかを考えていけば、変革も可能である。
塀や蓋という存在が生徒の力を伸ばしていく。」
これは、5月に参加した「男女別学シンポジウム」で、
パネリストの女子校の校長先生が話されたことです。
「塀」や「蓋」の不自由さを実感している生徒も少なくないようで、
このお話を紹介している時、うんうんとうなずきながら聞いている生徒もいました。
でも、その「塀」にも「蓋」にも意味のある!
「塀」や「蓋」が生徒の力を伸ばす、なんて、
もしかしたら、高校生の皆さんは考えたこともなかったかもしれませんね。
でも、女子校の制約は、無意味な厳しさではないことが、
この校長先生の言葉で、少し理解できたのではないでしょうか。
次に、「今、社会はどんな人間を求めているのだろう」というお話をしました。
例として、
国際バカロレアの目指している「学習者像」や、
経済学者の語る「世の中で求められている力」を紹介しました。
その中には、「忍耐強さ」「良心」「自己抑制力」「思いやり」「振り返りができる人」「考える人」といったキーワードが出てきます。
「西遠の規則が厳しい」ということも、世の中が求める人間像と大きく関連しています。
10代に我慢を知らずに、好きなことだけをし、わがままに成長したなら、
自己抑制のきく大人になれるでしょうか。
忍耐強くものごとにあたっていける大人になれるでしょうか。
社会に出て行った時、高校生の皆さんが挙げた「英語ができる」「コミュニケーション力がある」などと並んで、
「忍耐強いこと」「自己抑制ができること」なども大きく要求されるのです。
最後に紹介したのは、京都の宇治市にある宇治上神社の本殿にある貼り紙の文章です。
1年生の学年通信にあったこの文章を、高校生にも紹介しました。
「小さなお子様をお連れの親御様へ」
ここは神社です。
皆様が心を静めてお参りをされる場所です。
テーマパークでもファミリーレストランでもありません。
サービス業ではないのです。
「お客様は神様」の自論は通用しません。
本当の神様は目の前においでです。
当然、不敬な行動は叱ります。
親御さんがお子様をしっかり御監督なさって下さい。
お子様を叱るのは、親の責任ですし、親が不行き届きで、周りの人に叱っていただいたなら、逆切れではなく、「ありがとうございます」です。
自分本位な考えの大人になられないように、正しい教育で共にお子様の健やかなる成長を見守りましょう。
これを、他人事として受け止めるのではなく、
自分が将来母親になった時にちゃんと覚えていてほしい。
そして、何より、
今の自分自身が、
周りに気を配り、品位ある振舞いをし、
もし人から注意されたなら素直に
「ありがとう」「ごめんなさい」と言える高校生であってほしい・・・。
高校生の皆さんの「良心」に訴えました。
今日、こうして講堂で述べた私の思いを、高校生はどう受け止めたのでしょう。
集会記録の提出を待ちたいと思います。