こくござえもん、という名の教科通信を出していた時代がありました。
平成3年度、私が日体高校で非常勤講師をしていた時です。
先日、「すごい偶然」で、その時の教え子の皆さんにお目にかかり、
懐かしさでそのファイルを探し出してみました。
当時、私は高3と高1を教えていましたので、
その両方に出していた授業内通信です。
もちろん、手書き。
特に懐かしく思い出したのは・・・ステラをめぐるお話。
手前右の通信に「ステラ」という文字がありますが、見えますか?
この年、オオバはNHKの番組広報誌「ステラ」が募集していた「ステラ大賞~私とテレビ~」エッセイコンテストに応募しました。
講師だったので、夏休みに原稿用紙に向かう余裕があったんです。
自己啓発のために、と言いながら、賞金に目がくらんでいましたけれども…笑。
「大河ドラマと私」というようなタイトルでエッセイを書いて出したのですが、
夏休みも終わり、忙しい日々の中ですっかり応募したこと自体を忘れていたら、
10月になって、NHKステラ編集部から突然
「最終選考に残った」という知らせが届いたのでした。
おおおおお、と我が家はかなり盛り上がりました。
しかし、最終選考と言っても、1位と3位じゃだいぶ違って、
1位なら30万円とワープロ、3位なら、確か1万円とステラおばさんのクッキーだったのです。
そりゃあクッキーより30万円がいいなあ~と家族と夢見る日々。
その後、NHKからは何の連絡もなく…。
そしたら、ある晩、荷物が届いたのです。
門の呼び鈴で表に出ると、暗い中、宅配のお兄さんが大きな荷物を出して、
「オオバトモヨさんですか?荷物です」
「誰からでしょう?」
「ステラって書いてありますね。」
「・・・!! うそーっ!モノは何ですか?」
「…ワープロですね」
「きゃああああああ」
そうです、普通の荷物になってワープロが届いて、
初めて私は自分が第1位になったのを知ったのでした。
宅配のお兄さんは、目の前で興奮する30のおばさんを見て困惑していたと思います。
数日後、「ステラ」が発売されました。
沢田研二さんが表紙でした。
自分の文章を確認し、
嬉しすぎて高校生のみんなにも報告したんですね。
そしたら、皆が買ってくれて、読んでくれたわけです。
それが、上の写真の紙面。
「ステラ 買ってくれて読んでくれてありがとう!」
という見出しです。
この部分を読みながら、思い出しました。
確か1年男子諸君は、
「30万円が来たら、焼き肉だよな」
「楽しみだな」
と、勝手に30万円の使い道まで考えていてくれたんでしたっけ。
いやいや、焼き肉しないから。
ワープロに比べて、なかなか届かなかった30万円、
「30万円、届いた?」
「まだ?大丈夫?問い合わせたら?」
と、えらく賞金の到着を我がことのように心配してくれたのでした。
(ご報告:30万円は貯金して、数年後、親子3人の初海外旅行に使いました!)
一般的に、生徒は、授業中の先生の無駄話ばかり覚えているようですが、
先日の再会の時にも、「息子が結婚した」と言ったら、
「おおおお、よく子どもの話してたよな~」
と言われ、私ってそんなに横道にばかり行っちゃってたんだっけと少しばかり反省しました!
「こくござえもん」の最終号を出した後、春休みに新居で行われた学習合宿で国語を担当し、日体高校の1年の皆さんとお別れしたのでした。
私にとって、日体での二年間は、たくさんの生徒や先生方と出会って、私学の教育の多様性を知った実り多い時間でした。
野球部の中村君と、まさか数年後に西遠で教員として再会することになろうとは思っていませんでした。
また、保護者として再会した方も。
出会いって、おもしろいですね、本当に思います。
しばし、日体高校での二年間に思いを馳せ、お世話になった先生方のお顔を思い出しながら感謝の思いでいっぱいになったオオバでした。