西遠の学園祭で、中3から高2までの全クラスが挑戦するHR展。
4月に全員が企画書を出し、プレゼンやパネルディスカッションを経て、それぞれのクラスの研究テーマが6月末にようやく決まりました。
夏休みから本格的に研究・調査・製作が始まります。
HR展には「巨大製作物を作る」という条件があります。
十分討議してテーマも決めた生徒たちですが、
具体的にどんな教室配置にして、どんな製作物をどんな材料で作ろうか、
今まさに悩んでいるはず。
今日は、そんな生徒たちに向けて、本格的に始まるHR展製作期間を前に、
静岡文化芸術大学 文化政策学部芸術文化学科教授の小針由紀隆先生が、
「巨大なモノを作る」と題して「出前授業」を行なってくださいました。
私たちが美術館や博物館で見る「展示」は、3つの行為で成立している。
3つとは、「置く」・「掛ける」・「吊るす」。
HR展の「展示」もこの3つから考え、展開することができる!
これが、先生のお話からの第1の発見。
あえて小さなモノを何十倍にも巨大化させたオルデンバーグ。
日本では、草間彌生。
草間さんの作品「かぼちゃのオブジェ」は、
美術館の展示スペース中央に置くと、360度見ることができる。
しかし、埠頭に置くと、同じ作品でも、360度回って見ることはできない。
置くとき、掛ける時、どう見てもらいたいかを考えて展示しなくてはいけないんだ!
生徒たち、HR展の配置が気になり始めました。
そして、「巨大なモノを作る」ことについて、
・3次元のものを2次元にする
・部分と全体を組み合わせて見せるのもあり
・・・
小針先生、様々なヒントをくださいました。
質疑応答では、2名の高校2年生からかなり具体的な質問がありました。
ところが、先生は「それはこうするといいですよ」なんておっしゃいません。
生徒に「どうしたいですか?」「どっちでもいいんじゃないかな」と投げ返してくださいます。
質問した生徒やそのクラスは、答えじゃない先生のお返事にかなりとまどったでしょうが、
答えが簡単に出されるものではないということを
先生は教えてくださいました。
テスト勉強や受験勉強とは全然違う次元の「学び」が、今日の講堂にはあったのです。
これは生徒たちにとってかなりのカルチャーショックだったろうと思います。
そう思いながら、私はワクワクしてしまいました。
「考えて迷うこと、悩むことは、楽しい」
小針先生はおっしゃいました。
その意味に講堂にいた生徒たちが今すぐ気づくことが出来なくても、
今年のHR展の製作期間中に、
或いはHR展を作り上げた後に、
小針先生のおっしゃったことの意味が、
ストンと入るのではないか、と思います。
今日の学びが、それぞれのクラスのHR展完成に向けて、大きな参考になったと確信しています。
そして、生徒にとって、学園祭のことだけにとどまらず、
学問や大学への大きな関心が芽生えていく1時間になったのではないでしょうか。
答えは簡単に出ない、
答えは一つではない。
生徒たちが、今日をきっかけに、大いに成長していくことを願っています。
小針先生、本日は西遠の生徒たちに素敵な授業をありがとうございました!!