おはようございます。
今週は出張が多い週です。
今日も午後から出かけます。
校長室の壁に、2首の歌がかかっています。
ひとつは、「君見ずや明日は散りなむ花だにも力の限りひとときは咲く」
…私たちが講堂朝会の最後に歌う「力の限り」です。
そして、もう一つの歌は、
「越えなばと思ひし峯にきてみればなほ行く先は山路なりけり」
ともに、創立者岡本巌先生の書によるもので、
毎日この歌を目にすることのできる贅沢を味わっております。
「越えなばと…」の書は、学園の応接室などのテーブルセンターにもなっていて、
以前からいい字だなあと思っていました。
その字の額を毎日眺めていられるのですから、本当に私は幸せ者です。
この峯を越えたら目標が達成できると思っていたのだけれど、
その峯に来てみたら、まだまだ行く先は山道であった・・・。
楽になりたいとか、ホッとしたいとか、人はどこかにゴールを求めています。
そこで、ふうっと安堵したいのですが、
目標を達成した途端、次なる道が待っています。
テスト勉強も、テストが終わったらホッとできると思うけれど、
終わった先には次の試験が待っています。
部活動でも、苦しい練習が続き、この大会が終わったら…と思って歯を食いしばって頑張り、
いざ大会が終わったら、もう次の大会に向けて頑張らなくちゃいけない。
ついつい、愚痴もこぼしたくなりますし、時には投げ出したくもなるでしょう。
自分の頑張りって一体なんだったんだろう、なんて虚しくなることもあるかもしれません。
けれど、弱気にならなくても大丈夫だと思います。
焦ることもありません。
この歌を味わう時、焦りや絶望感よりは、果てしない人生行路の壮大さに私は思いをはせます。
巌先生の書の優しい筆遣いからでしょうか。
次の峯までまだ険しい山道は続くでしょうが、
優しく見守られているような気持になるのです。
包容力に満ちた歌であり、書なのだと、私は思っています。
晴れた日も、曇った日も、土砂降りの日も、
西遠で過ごす6年間にはあって当然です。
悩める生徒の皆さんも、
虚しい気持ちを抱いた日や、投げ出したくなる日があった時、
焦らず、壮大な前途を楽しみましょう。
人生の道は長いのです。
一つ峯を越えたその達成感を大事にして、
また力を養い、ふうっと深呼吸して、
次の一歩を踏みしめればいいと思います。