秋空と龍胆

13時からの掃除の時間、秋空が広がっていました。

15分間の掃除、松の葉がたくさん落ちている外掃除区域は、大忙しです。
ほうきで作った松の葉の山がいくつもできていました。

草取りメンバーも、頑張ります。
新井先生のグループ、15分間よく働いていました。

今、東館の靴箱には、この花が飾られ、俳句が紹介されています。


「龍胆」又は「竜胆」と書いて、リンドウ。
秋の花です。
鮮烈な青、真っ直ぐな茎に、潔さを感じます。
リンドウを見ていたら、「野菊の墓」を思い出しました。
伊藤左千夫作「野菊の墓」、皆さんはご存知ですか。
西遠生にすすめる本にも入っていますが、
この古典的な名作本にトライする人は最近ではあまりいないように思います。
私自身、この本を中学時代に読みましたが、難しかった記憶があります。
多分、原作を読む前に、テレビで「野菊の如き君なりき」という映画を見たのでした。
笠智衆さんが出ていたモノクロの画面を、今もうっすらと覚えています。
浜松出身の木下惠介監督の映画、調べたら1955年の作品だそうです。
(ワタシハ、マダ生マレテイナイ…。)
その映像的な記憶を頼りに、あらすじも熟知していたからこそ、読破できたのだと思います。
私の中高時代は山口百恵さんの映画が全盛でしたが、もう少し時が進み、80年代のアイドルとして君臨した松田聖子さんが映画デビューを飾ったのが、この「野菊の墓」でした。
私も映画館で見ました(松田聖子ちゃん、結構好きでした)。
最初は、彼女の演技がお世辞にもうまいと言えず苦笑しながら見ていたのに、「花一色」という歌が流れるあたりから涙が止まらなくなって大変でした。
数年後、西遠でも「映画会」でこの作品を上映し、講堂から最初は笑い声が聞こえてきたのに、最後は生徒たちが泣きはらして講堂から出てきた光景が目に焼き付いています。
この聖子ちゃんの映画「野菊の墓」の監督の澤井信一郎さんも、実は浜松出身なのです。
で、話はリンドウです。
主人公の政夫が、「民さんは野菊のような人」というのに対して、
民子は「政夫さんはリンドウのような人」と言い返す場面があります。
お互いに理由はきちんと言わないのですが、
民子には、野菊のような可憐さ、はかなさ、地味だけれど清楚な雰囲気が感じられ、それが小説の題名にもなっています。
リンドウは、政夫のまっすぐさを表しているのでしょうか…。
リンドウは群れて咲かないのだそうです。
あらすじを知らない生徒の皆さんは、この際、原作に挑戦してみてはいかがでしょう。
現代にはあり得ないような、つつましく哀しい、淡い恋のお話です…。
リンドウを見ながら、一冊の名作に思いをはせた秋の日でした。