読書しましょう その2

休校中、西遠では試験的に生徒の皆さんにウェブでのお知らせをしています。未登録の皆さん、登録にチャレンジしてくださいね。

さて、読書のススメ第2弾です。

まず、左側の山本周五郎「小説 日本婦道記」。これは、私にとって思い出の本です。

「小説 日本婦道記」は、高校2年生で出場した「NHK杯全国高校放送コンテスト」の朗読部門の課題本の中の1冊でした。太宰治の「人間失格」ほか5冊が課題本でしたが、私は山本周五郎の日本語の美しさにひかれて、この本を選びました。朗読部門では、自分で選んだ個所を制限時間2分以内で朗読することになっています。2分を超えると失格です。時間的制約がある中で、できれば情景描写と心情描写の両方があるところ、そして、劇的な展開のところを選ぶとよいと言われています。私は、「藪の陰」の中の一節を選び、毎夜練習しました。当時NHK浜松放送局まで練習に行ったこともありました。西部予選を1分40秒で朗読して通過、県予選は1分50秒で読み切りました。審査の結果、2位で全国大会へ進むことができました。ところが、全国大会が近づくにつれて、感情を込めすぎたからか、朗読がどんどんゆっくりになって、練習は常時2分超過するようになってしまいました。失格の恐れが出てきたのです。顧問の川合先生と相談し、苦肉の策で、「静岡県西遠女子学園高等学校」の「高等学校」を削って読み始めるという、小さな時間短縮もして、本番に挑みました。 主人公の由紀の心情に沿いながら、心を込めて読みました。最後の一分を読み終えた瞬間にリンとベルが鳴りました。制限時間2分にぎりぎりセーフ!本番の録音をしてくれた高校1年生の後輩は、2分越えたらどうしようとドキドキだったことでしょう、録音には、リンというベルの音の後に、ふーっという後輩の安堵のため息まで残されていました。主人公由紀が夫の秘密を知りながら悩み考える場面をひと夏の間朗読し、周五郎の美しい日本語を読める喜びを味わいました。武道を支える婦道。周五郎の作品は江戸時代の女性の生き方を叙情豊かに表現します。出てくる人々は名もない人々。そして正直に、愚直に生きる人たちです。心洗われる周五郎の名作、「さぶ」「柳橋物語」「樅の木は残った」「松風の門」(いずれも「西遠生にすすめる本」に入っています)などと共に、ぜひ味わってください。

 もう一冊の「わたしはマララ」はすでに読んだ人も多いと思います。暴力にも屈することのないマララ・ユスフザイさんの勇気ある生き方を知り、心打たれると共に、女性と教育について考えさせられる本です。これも「西遠生にすすめる本」に入っています。もうすぐ発行される「学園報」のp1のご挨拶でも、少し彼女に触れています。今、女子校に通い、中学高校時代を過ごしている生徒の皆さんは、マララさんの国で女の子が教育を受けることがいかに難しいかを知ることになります。私たちの当たり前は、決して世界の当たり前ではないということ。それは、今、コロナの影響で学校に通えない状態の皆さんには切実な実感を伴うかもしれません。10代の生徒の皆さんが、同じ世代の女性の生き方を知ることに大きな意義があります。ぜひ、手にとってください。

今日は2冊の本を紹介しました。女性の生き方を考える本、これからも紹介します。