今日ご紹介する本は、瀧本哲史(京都大学客員准教授)著「ミライの授業」(講談社)です。
先生方が「この本は西遠生にすすめる本に入れるといいよ」と候補作をたくさん寄せてくださった」中の一冊です。ちょうど同じ頃、龍谷大学の学長さんがツイッターで、大学生に読むように、この「ミライの授業」を勧めていました。
この本は、「14歳のきみたちへ」という文章から始まります。出版は2016年。ちょうど今の高校3年生が中学2年生の14歳だった頃ですね。
「14歳のきみたちは、21世紀に生まれた最初の世代だ。」
そう、これは21世紀に生まれた若者たちへの、大人からのメッセージなのです。瀧本氏はこうも書いています。
「君たちは未来の住人であり、大人たちは過去の住人なのだ。」
この本を手にしている自分が「過去の住人」と定義され、私は思わずぎくりとしました。私たち大人は21世紀という時代を「素敵な未来」として思い描いてきました。たくさん夢見ました。しかし、私たち大人は、その夢を実現することができないまま、夢見た21世紀に突入してしまった…。そして、3・11があり、原発事故が起きて、今、コロナウィルスの脅威にさらされています。瀧本氏は言います。
「大人たちは自信を失い、21世紀に希望を描くことができなくなっている。そこで、一緒に考えてほしい。きみたちが生まれた21世紀とは、どんな時代なのだろう?」
「未来には、ひとつだけいいところがある。それは、『未来は、つくることができる』という点だ。誰が未来をつくるのか?きみたちだ。過去に生きる大人たちに、未来をつくる力はない。21世紀の第一世代として、きみたちの手で、きみたちだけの未来をつくっていくのだ。」
瀧本氏の授業は5時間あります。ガイダンスのあと、一時限目、二時限目、…と続きます。そして、この本には、大事なところに黄色のマーカーが付けられています。さらに、一時間ごとの授業の最後に「まとめ」がついています。読んでいくと、本当に、一時間一時間の授業を受けているような気持になる、10代の皆さんがとても読みやすい装丁の本となっています。
この本には、コペルニクスやコロンブス、エジソンなど歴史上の著名人がたくさん登場します。男性陣だけではありません。ナイチンゲール、ココ・シャネル、ベアテ・シロタ・ゴードン、緒方貞子といった女性たちの生き方が紹介されています。ちょうど、今年度から中学3年生の必読図書に決定した「世界を変えた10人の女性」(池上彰著)ともシンクロするところがあり、私は大変勉強になりました。
未来を拓く力、そのヒントがこの「ミライの授業」一冊に満ちています。ぜひ、この本からたくさん学んでください。通常の授業を受けられない今だからこそ、読んでほしい本です。