昨日の殉難学徒慰霊式は、生徒代表の「慰霊の言葉」といい、1・2・5年生による「平和の作文」といい、みな、今の世界情勢を憂い、力強く平和への決意が述べられていて、私は心から感動しました。
10代の彼女たちが世界や日本の今やこれからのことを一生懸命考えていることが、心にひしひしと伝わってきました。
私もお話をしましたが、こうして生徒たちがこの慰霊式を続けていることに尊さを感じ、平和の作文を綴る重みを感じています。
上映された「小さな赤いトマト」というドキュメンタリーには、今から10年以上前の西遠生たちが映っていて、彼女たちが戦争の傷跡を学ぶ姿、校庭でハツラツと運動する姿の対比が印象的でした。
この番組は、教師として何度も慰霊式で見てきている私ですが、今回は、動員学徒の犠牲者の一人として番組中で日記が紹介された鈴木かづ子さんが、そのあと中学1年生の曽祖父様への聞き書きの中にも登場したことで、いつも以上に心に響くものがありました。
今ある小さな幸せ、それが戦時中では毎日道で出会う知り合いであり、兄と食べるはずのトマトでした。
その人と会えなくなり、そのトマトを冷やしてくれた人が亡くなり…幸せが一瞬にして奪われてしまうことの理不尽を、生徒たちも感じたのではないでしょうか。
今ある小さな幸せ。
その幸せの大切さ、それを守ることの尊さを、
私たちは忘れてはならないと思います。
生徒たちが継承しているこの式典が、何よりそのことを教えてくれています。