12月24日のクリスマスイブに、西遠は「授業納めの式」を行い、25日クリスマスから冬休みに入っています。今日は、この「授業納めの式」(中高別々に実施)でお話したことを少しご紹介したいと思います。
今回、私が中学生に語ったのは、11月27日に行われた「ロング・ディスタンス・ウォーク」(通称ロングウォーク)での上級生の感想。そして、高校生に語ったのは、同じロングウォークでの中学生の感想でした。12歳から18歳までが一つの班で14キロ以上を歩き切るこの行事は、西遠と天竜川河川敷とを往復するコースになって今年で3年目です。往復で計8か所のポイント(くじ引きで決定)をめぐるべく、地図とにらめっこしながらひたすら歩く地味な行事ですが、オンラインで実施した生徒のアンケートには、他の学年にぜひ知ってほしい、一人一人の心構えや成長がありました。それでは、講堂で読み上げた生徒の感想(中高どちらかで読んだもの)をご紹介します。
Q1 あなたは姉妹班で歩くときにどんなことを心がけましたか?
- 先輩が話しかけてくれた時に無言にならずマスク越しでも笑顔で話せるように意識したり自分から話しかけるように心がけた。(中学1年)
- 私はマイペースで歩幅が小さいらしいので先輩方に迷惑をかけたり置いてかれないようになるべく歩幅を大きくしたりして頑張りました。(中学1年)
- 無言にならずできるだけ楽しい雰囲気を作ること(中学2年)
- 先輩と話して先輩のことを知ること(中学2年)
- 細い道などは1列で歩いたことと班の人数が奇数だったので1人ぼっちになる子がいないように話すこと。(中学3年)
- 4年生は、上の学年と下の学年に挟まれている学年なので、会話が盛んになるように自分から話題をふったり、話を続けることに心がけました。(高校1年)
- 下級生と離れてしまわないように、自分が歩く場所を下級生(1年生等)に近い場所で歩くようにしました。 (高校2年)
- 自分の話だけにならないように、聞き手にもなったこと。(高校2年)
- 全員に話しかけ、定期的に体力や怪我のチェックをした。班員全員が楽しめる様に話を振ったりした。歩道がないところは、白線の中に入ってと声をかけたり、交通的なこともなるべく気にかけ、事故や怪我が起きないよう行動した。(高校3年)
- 後半になると、どうしてもテンションが下がってきてしまうので、皆のテンションが落ちきらないよう場の雰囲気を作るよう心がけました。 (高校3年)
下級生は上級生に協力しようと努力し、高校生は後輩に優しいまなざしを注いで、姉妹班での行動をしたことが分かります。
Q2 今回のLDWを通じて自分が一番「良かった」と思うことは何ですか?
- 先輩のリーダーとしての行動がスゴく良かったと思います。先輩が最後まで一生懸命頑張ろうという姿をみて私ももっとたくさん一生懸命頑張ろうと思いました。自分から積極的に話しかけたことで、今までは、あまり知らなかったことを知る良い機会になりました。先輩と協力してできたことが良かったです。 (中学1年)
- 今回初めてのロングデイスタンスウオークで、思ったよりもきつくて大変だったけれど、やっぱりコロナが流行っている中でも西園の伝統行事を行い、そして先輩との思い出を作れて本当によかったです。(中学1年)
- 1年生の頃は自分から話しかけることが難しかったけれど、今年は話しかけられるようになったのでよかった。 (中学2年)
- あまり話すことのなかった下級生と話すことができたのでそれが良かった。 (中学3年)
- 去年は全然話をしなかったけど、今年はたくさん話せてよかったです。特に5年生の先輩と話せてとても嬉しかったです。本当に今年のLDWは楽しかったです。 (高校1年)
- 今までは学年が下から数えたほうがはやかったのであまり自分からは積極的に話しかけたりはしていなかったのですが、今回は高校生になったということもあり後輩に気を配ることのできる先輩でありたいという気持ちからたくさん話しかけることができました。成長したなと感じることができたのでよかったです。(高校1年)
- 後輩と仲良くなれたことと、上手く人と話しを繋げるコツを掴めた。(高校2年)
- 後輩と話すのはもちろん、先輩の受験の話を聞けて良かった! 進路ガイダンスを受けてからだったので、さらにモチベーションが上がった。(高校2年)
- 積極的かつ楽しく先輩と話すことができ良い思い出になった。皆共通の思いを持って一生懸命歩いて助け合いながら仲を深めることができた。 (高校2年)
- 他学年の子と楽しい思い出を作れたことと、いい気分転換になりました。疲れよりも、楽しいが勝ってました。 (高校3年)
- 最後に五年生とたくさん話すことができて良かったと思います。 (高校3年)
- 今年は行事の多くが中止となってしまいましたが、LDWが出来たことがなによりも良かったです。学年を越えて班のみんなでたくさん話す事ができ、疲れても励まし合って、到着した時には絆が深まっていました。とても良い思い出になりました。 (高校3年)
高校3年生の感想はどれも温かくて、優しさに満ちていました。中でも、次の二つの感想は、下級生にとっては何よりのプレゼントだったと思います。ロングウォークは姉妹ピア活動の集大成の行事なのだと感じました。
- 最後、お菓子を皆に渡す時に、「楽しかった人?!」と聞いたら皆声を揃えて「「はい!」」と言ってくれて、それが一番嬉しかったです。皆仲良く、楽しく、とにかく良い思い出にしてあげたいし、ロングウォークは楽しいものなんだっていうのを1年生に知って欲しかったし、他の子達にも満足のいく思い出にして欲しかったので、班員全員が笑顔で楽しかったと言ってくれて本当に疲れが吹っ飛ぶくらい嬉しかったので私も大満足でした。その後、班員でお疲れ様と言い合えたのも仲が深まったからだと思いました。皆の笑顔を見られたのが1番良かったと思うことです。(高校3年)
- 掃除のときは6年生が指揮するだけで、他学年が中心になることはあんまり無いのですが、ロングウォークでは普段では見られなかった他の子達の気遣いが、とても心強く感じました。きっと私の班の子は、学年問わず、誰がリーダーになっても十分任せられるだろうと思います。(高校3年)
もう一つ紹介したい感想があります。うまく行かなかった先輩の感想です。
- 今回は下級生に何も話しかけることが出来ず、寂しい思いをさせてしまい、とても申し訳なく思っています。もう来年は最上級生であり、リーダーの立場である可能性もあるので、下級生に気を配り、きちんとコミュニケーションを取りながら歩こうと思いました。反省することばかりですが、今回、LDWではどのような行動を取ったらよいのか分かったので、来年はそのことを活かせる様にしていこうと思いました。(高校2年)
私は、この感想を読んで、これこそが成長のきっかけだと思いました。すべてうまく行くことなんて、なかなかありません。正直にこうした思いを書いてくれたことが、彼女の成長につながると思います。しかも、今年の失敗は来年改め、活かせばいいのです。6か年一貫の良さをかみしめるような感想でした。
姉妹ピア活動が始まって、もう何年になるでしょうか。ロングウォークを姉妹で歩くようにした時、最初は「学年で歩きたい」と誰もが言いました。気の置けない友人とおしゃべりしながら歩く方が楽に決まっています。それでも、この行事を「姉妹の行事」にして継続したことで、みんな少しずつ苦労をしながら、工夫もして、上下級生の垣根を取り払えるように頑張り始めました。特に上級生の頑張りは嬉しいものでした。
今年は姉妹で行う行事も、コロナの感染対策で中止になってばかりいましたので、ロングウォークはやっと実現できた行事でもありました。その1回のチャンスを、西遠の生徒たちはそれぞれ「成長の日」にしたようです。互いの心がけや行動の真意を、私はぜひ全校生徒に知ってもらいたいと思い、この感想を読み上げました。
2021年も、姉妹ピア活動が生徒一人一人の心を開き、大きく成長することに繋がりますように。