皆様、中学1年生の時に「少年の日の思い出」という小説を習いませんでしたか?
ヘルマン・ヘッセの小説で、チョウが大好きな少年が、珍しいチョウの標本見たさに、隣に住む同級生エーミールの部屋に忍び込んで…という作品です。
オオバ、国語の教員ですので、中学1年生を受け持つたびにこの小説を授業で教えました。
「ああ、思い出した!オオバに教わったわ!」と、今うなずいてる卒業生の方もいらっしゃることでしょう。
チョウの魅力に負けてしまった少年に対して発せられたエーミールの容赦ない言葉…。
あの挫折と悲しみの、後味の決してよくない小説、結構覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
「非の打ちどころのない」という言葉をこの小説で覚えた方もいらっしゃったりして・・・。
ところで、あの作品に登場する件のチョウの名前を、皆様覚えていらっしゃいますか?
そうです、羽根に眼のような模様のある、あのチョウです。
昔は、ヤママユガと紹介されていましたが、
年月が経つうちに、クジャクヤママユという名に変わっています。
蛾じゃなくて、蝶なんですね。
と長い前置きでした。
この夏あたりから、やたらと蝶と蛾の名前調べに凝っているオオバは、今日でっかいチョウを見たのです。
とある駐車場で、大きな葉っぱが地面で風に揺れてパタパタしているなあと思って近寄ったらば…、
「あ、蛾だ!」(本能的にキレイじゃないものは、蛾だと思ってしまう習性)
なかなか動かないので、写真、ゆっくり撮らせていただきました。
ほらほら、眼!
目玉みたいな円が見えるでしょう?
結構大きくて、全長15センチは優にあるなという蛾(だと信じてました)でした。
そして、この眼は…ヤママユガ!?
学校に戻って調べたら、
小説に出てくるクジャクヤママユではありませんでしたが、ヤママユ(ヤママユガ)の写真にぴったり一致しました。
そして、くどいですが、ヤママユガとあるけれども、チョウだったのでした。
例によって、蛾の方から調べてしまったので、なかなか巡り会えず、
おかしいなあ、ヘッセの小説で有名なはずなのになあ…なんてブツブツ言っていたオオバ、
「あれ?蝶?」と思い直して「ヤママユ」を見たら、一発でヒット!
「美しいと蝶、ちょっと不気味だと蛾。」
この先入観からいまだ抜け出せない、成長なき自分でありました…。
夏休みは終わりましたが、まだまだ蝶と蛾の名前調べは続けたいと思います。
ここからは「少年の日の思い出」ならぬ、「新任の日の思い出」。
大庭が若かった、〇年前のことです。
西遠の教壇に立って、あれはたしか2年目だったでしょうか。
1年目、2年目と続けて中学1年生の国語を担当しておりました。
「少年の日の思い出」をまさに授業で扱っている最中、
ある朝、中学1年生2人が勢いよく職員室に飛び込んできて、
「先生、ヤママユガ見つけた!!」と大きな声で叫ぶのです。
ちゃんと二人は捕まえて来てくれました。
(昆虫が苦手な女子が多い中で、エライ!)
おかげで、国語の授業は大変活気づきました。
あの時、今は亡き高橋博之先生が展翅(てんし)を試みてくださったように記憶しています。
「展翅」という言葉自体も小説に登場するので、まさに「生きた授業」そのものができたのでした。
あの時の彼女たちはどうしているかしら。
ヤママユに再会したおかげで、新任の頃が懐かしくなったオオバでありました。