土曜日、ある教室では、こんな光景が繰り広げられていました。
どうやら皆の新年の目標を掲示しようとしているようです。新春の教室には、こうした華やぎがあります。
さて、昨日は成人の日。新型コロナ感染拡大のために今年は各地の成人式も中止や変更が相次ぎました。焼津市のドライブスルー成人式が全国ニュースで取り上げられた他、式典を中止し写真の撮影場所を提供した自治体もいくつか紹介されていました。どこの自治体も、感染が広がらないことと成人の皆さんの幸せを考え、結論を出したのだと思います。
原点に戻れば、「成人の日」は大人の仲間入りをした新成人の皆さんをみんなでお祝いする日です。改めて、新成人の皆様、おめでとうございます。式があったか・なかったか、晴れ着を着たか・着なかったかということよりも、「社会の一員」としての第一歩を踏み出すということが何十倍も大事です。
昨日の朝日新聞では、「天声人語」と「社説」が「成人の日」をテーマにしたものでした。「天声人語」の書き出しにはびっくりしました。「俳優のムロツヨシさんは、…」とあるではありませんか。2010年の映画「シュアリー・サムデイ」以来ムロさんにずっと注目してきた私の中ではこれはまさしく大事件。 ついにムロさん、天声人語に登場したよ!と 声を挙げていました。ムロさんの大学時代、下積み時代を「自信」と「根拠」と「経験」という3つのキーワードで紹介した「天声人語」は、最後に、新成人に対してだけでなく気持ちだけ若いという人にも宛てて、「自分の中のエンジンを探りたい」「空回りもむだではない」と訴えていました。味わいのあるコラムでした。
同じ朝日新聞の社説は、「コロナ禍でも前向いて」というタイトルでした。新しい日常を考える主役は若い人々であるとして、実際にそういう一歩を踏み出している女性 慶應義塾大学4年の能條桃子さんや、家計窮迫の大学生仲間を救おうと立ち上がった大学生グループを紹介しています。そして、日本の若者の社会への満足度の低さや、「私の参加により、社会を変えられるかも」と思う若者の率の低さを挙げ、若者の背中を押す大人の役割に言及しています。
「若者のために、未来の社会のために、大人は何をすべきか」…大人の一人として責任を感じながら、この社説を読みました。社説の訴えは、先日読んだ中満泉さんのインタビュー(朝日中高生新聞)にも通じる主張でした。中満さんは、「世界は絶対変えられる」と述べていました。≪若い世代に伝えたいのは「世界は絶対かえられるという事実」です。日本は選挙の投票率が低いですが、85%以上の国はざらにある。国の政策や在り方をかえる延長上で、世界もかえていけます。≫と。(全文はこちらをご参照ください。) まず、大人は、世界が変わることを信じなくちゃいけない、諦めてはいけないと思います。大人が信じなくて、若者が信じることなどできないでしょう。大きな選挙のある2021年、18歳を迎えた生徒だけに「選挙に行きなさい」と言うのではなく、まず50%しかない投票率を私たち大人がしっかりと上げていかなくてはならないでしょう。民主主義も自由も、「である」ものではなく「(擁護・行使)する」ものですから。自分の中にあるエンジンを大人こそ探さなくちゃいけません。
若い世代の夢や目標を、大人はしっかりと守り育てることをしなければならない。 成人の日の新聞を読んで、改めて考えさせられました。新成人の皆さん、若い世代の皆さんが羽ばたく未来を、たくさんの大人が考え、変革する努力をしていかなくてはならないと思います。 西遠の生徒一人一人の未来をしっかりと照らす一人でありたい!――そう強く思いました。