1月20日生まれの詩人

今日は、詩人の西脇順三郎の誕生日だと知りました。西脇順三郎は、1894年1月20日生まれ、1982年に亡くなった詩人です。教科書に載る詩としては、「天気」が有名ですね。

     天気       西脇順三郎

 (覆された宝石)のような朝

 何人か戸口にて誰かとさゝやく

 それは神の生誕の日。

一瞬何を言っているんだか分からない謎めいた詩を、ずいぶん授業(高校現代文)で扱ったものでした。一人で味わうよりも、皆でいろいろ想像し合って読むと面白い詩ですね。( )の使い方が数学的で、すごく面白いなと思います。( )は先に計算する、すなわち「覆された宝石」をひとまとまりにして先に読め、という指示なのだと私は解釈しています。頭の中に、キラキラした宝石がいっぱい転がります。乾いた西洋の白い街並みの朝を想います。神はギリシャ神話の神でしょう。異国情緒あふれるこの短い詩は、はるかヨーロッパへ想像の翼を広げさせてくれます。

図書館で、西脇順三郎の詩集「Ambaruvalia」を借りました。赤い表紙のこの詩集を読み始めてみると、自分が知っている詩はとても少ないことが分かります。読み進めながら、西脇順三郎の知性や欧州留学の遍歴などが凝縮した詩集だなと圧倒されています。

西遠の図書館には、詩集の蔵書がとても充実していて、私はこの棚(写真左)に身を置く時間が大好きなのです。「友情」の顧問を務めていた時には、よくこの棚から詩集を取り出しては、「友情」の表紙裏に掲載する「巻頭詩」を選んでいました。少しでも詩に親しんでほしい、たくさんの詩に出会ってほしい‥‥という願いを込めて、「友情」表紙裏では、あまり有名ではない詩人やマイナーな詩も敢えて候補にして、季節感やメッセージ性を大事にしていました。

私が詩人の棚を好むのは、大学時代、近代詩のゼミに身を置いていたからということも大きいと思います。阿毛久芳先生のもと、友人たちが研究するいろいろな詩人を学ばせていただきました。石垣りんを卒論に選んだ先輩は、その頃まだお元気だった石垣りんさんご本人のところに出向いて取材していました。中原中也を研究していた先輩は美人でした。1年上の先輩たちがとても偉大に見えました。大学4年になる春休みには、山奥(山梨県都留市)からはるばる上京し、阿毛先生に連れられて、国立国会図書館と近代文学館を見学するゼミツアーもあり、そこから卒論準備が始まったことを思い出します。 与謝野晶子、宮沢賢治、萩原朔太郎‥‥いろんな詩人の研究が進むゼミでした。夏は朝霧高原にあるニジマスの養鱒場前の民宿でゼミ合宿。2泊3日だった記憶ですが、一人90分で研究発表、一日何人が発表したか、気が遠くなるような、そして楽しみのご飯は三食全部「鱒」尽くしだったことも、笑い話のような思い出です。(合宿終えた3日目のお昼はハンバーグ屋さんに駆け込みました!)

すっかり昔語りをしてしまいました。失礼致しました。今日は、娘の誕生日でもあるので、少々感傷的なのかもしれません。

さて、私が本を借りている頃、3階では、今日も放課後自学に励む生徒たちがいました。中学生も明日から定期テストです。みんなテスト頑張ってね!