表紙の美しさに惹かれ、この絵本を買いました。
イザベル・シムレールさんはフランス生まれの絵本作家です。イラストレーターとしても活躍されている方だそうです。この「しぜんのおくりもの」には、フランス語のABC順に、動物や植物がイザベルさんの絵で登場します。私は何より、この表紙の字のデザインに惹かれました。「し」はおたまじゃくし!「も」はとんぼ! …字そのものが極めてスマートに動物になっていて、違和感や読みにくさがまるでありません。なんと、この日本語版のタイトルは、イザベル・シムレールさんご自身の描き下ろしなのだそうです! フランス人のイザベルさんが日本のひらがなをこんなに素敵にアレンジするなんて、びっくりです。
中を開いてみると、写実的でダイナミックな絵が並びます。虫が苦手な子にはちょっと刺激が強いかもしれませんが、力強い自然の姿がページごとに躍動しています。苦手と言わずにじっくり見入ってほしい本です。
岩波書店児童書編集部さんは「 図鑑のようにも絵本のようにも味わえて、自然を愛するあなたの生活に寄り添います。小さい子から大人まで。 」とこの本を紹介しています。アニメチックな絵の方が甘いお菓子のように好まれますが、絵本の奥深さを教えてくれるこの「しぜんのおくりもの」は、長い時間をかけて、見る人に大事なことを教えてくれるように思います。単純な味のお菓子ではなく、熟成された神秘の味のような…。ぜひたくさんの皆さんに味わってほしいと思います。