小さな白板、第7週

図書館入り口に置いている「小さな白板(ホワイドボード)」、5月17日からの第7週は、定期テストを挟んだ一週間でした。雨も多い一週間でした。雨の歌からちばさと先生の短歌まで、幅広いラインナップとなっております。

5月17日(月) 河野裕子さんの本を読んで、この一首を見つけました。

地に直に触れゐる部分のやはらかさ裸足といふこと私といふこと  河野裕子

この短歌に出会ったとき、私は谷川俊太郎の「春に」を思い出していました。悩み多き思春期真っ只中にある中高生にこそこの短歌を贈りたい、そんな気持ちで週の初めのホワイトボードに書きました。

5月18日(火)

私はこのホワイトボードを、基本的には校長室で前夜に書きます。ちょうど、5月17日の夜は雨がひどくて、雨の音を聞いていたら、この歌が脳内をリピートしたのでした。♪雨が空から降れば 思い出は地面にしみこむ♪‥‥小室等さんの素朴な歌声を、私はNHK「みんなのうた」でよく聴いていた記憶があります。ふと口を突いて出てくる歌は、この「みんなのうた」で紹介された歌であることがとても多いことに気づきます。今年は「みんなのうた」60周年で、春先からいろんな関連番組を放映していますが、こうやっていろんな歌が人々の生活に寄り添っているんだろうなあと想像します。(ちなみに私は「みんなのうた」と同い年!) 但し、この雨の歌、翌日は晴れてしまったので、みんなの思い出が地面にしみこまなかったかもしれません。

5月19日(水)

テスト中の生徒の皆さんにエールを送る気持ちで、人生の応援歌を!と思って槇原敬之さんの歌を書きました。「どんな時も。」は子育て真っ最中の頃のオオバの応援歌。保育園に子どもたちを送る車中、「どんな時も。」と「愛は勝つ」と「夢をあきらめないで」を3人で大声で歌って、保育園まで5分のドライブを楽しんでいました! カセットテープに好きな曲を録音して編集していた時代です。

5月20日(木)

この日は、生徒の皆さんに、「採点中の先生方の気持ち」をお届けしました! 採点してると、みんなの珍答迷答に先生たちは呆れたり吹き出したりしているのです…。ちなみに「女御」は「にょうご」と読みます。この短歌、千葉聡さんの「小さな黒板」で見つけました。

5月21日(金)

またまた雨の音に、この歌の♪こだ~ち~も ぶらんこも~ メ~リーゴーランドも~♪のフレーズが脳内リピート。これもまたNHK「みんなのうた」出身の一曲だったのでした。

5月22日(土)

ちばさと先生の「微熱体」という歌集が「現代短歌クラシックス06」として復刻出版されました。自宅に届いたこの歌集を読み始めると、まず最初の短歌がこれでした。詞書として、「この世で一番みじかい愛の詩は/愛/と一字書くだけです 寺山修司」と、寺山修司さんの「みじかい恋の長い唄 」 の一節が紹介されていました。寺山さんの詩への「返歌」なんだな、と思いながら、愛という漢字をあたたかく分解したこの一首に心ひかれました。

千葉聡さんを知ったのがつい数年前なので、初期の歌集を今改めて読ませていただいています。青春時代って、とても危うくて儚くて切ないなあ…と思いながら読みました。ちばさと先生は、ツイートで、この歌集のことを「20篇の短編小説集としてまとめました」と呟いていらっしゃいました。そう思って読むと安心します。だって、もしも全部実体験だったら、かなり過酷な学生時代を過ごされたことになりますから…(実は読んでいる間、ちばさと先生の学生時代って、ドラマチックすぎる!波乱万丈だったんだなあ、なんて勝手に思い込んでました)。10代の感性でこの歌集を読んだらどんな感想が聞けるかな、だれかこの歌集を読んだらオオバのところに話しに来てほしいな‥‥と思っています。

以上、第7週の「小さな白板」プラス オオバの読書記録でした!