昨夜のNHK大河ドラマ「青天を衝け」は、1967年のパリが舞台でした。主人公渋沢栄一が、パリで行われた万国博覧会に招かれた将軍名代の徳川昭武の随行の一人として、フランスの地を踏みしめたのでした。着物にちょんまげ姿の渋沢栄一が 暗くて長い階段を上がって外に出たとき、眼下に現れたのは、パリの大都会。そのパノラマを、彼は凱旋門の上から見下ろします。暗くて長い階段は凱旋門の上まで登る階段でした。異国の地に立った日本人として、彼はどんなことを感じたのだろう。日本人たちを見たパリの人々はどんなことを感じたのだろう…。ドラマの冒頭ですっかり魅せられました。
2011年の年末、生まれてはじめて私もパリの地に立ちました。留学中の娘に連れていってもらった凱旋門。上まで登れるんだ~、と「おのぼりさん」の私。暗くて長い階段は本当にきつくて、息切れ。途中で休みたいのに、下から次々観光客が登ってきます。追い立てられるように上まで登り、疲れ切ったことを今でもよく覚えています。そんな思い出があったので、昨日の大河ドラマで渋沢栄一がのぼっていく様を見ながら、「これは凱旋門に違いない!絶対、凱旋門だ!」と想像してワクワクしながら画面に見入ったのでした。・・・当たりました。
この「1867年のパリ万博」を描いた大河ドラマはこれが初めてではありません。1980年に放送された「獅子の時代」の冒頭、パリのリヨン駅に降り立った武士たちの姿で始まったシーンは、今も鮮烈に脳裏に甦ります。今年「青天を衝け」を見ながら、物語が往時の大河ドラマ「獅子の時代」の第1回に近づいていくドキドキ感を、実は毎回秘かに味わっておりました。「獅子の時代」ファンなら、みな同じ気持ちではないでしょうか。
渋沢栄一がパリにいる間に、日本は大政奉還→明治維新を迎えます。1867年のパリで、渋沢がどんなことを学び取ったのか、帰国してどんな困難が待ち受けていたのか…。ドラマとしても興味津々ですが…、五輪期間中は大河休止とのことで、がっかりしている大河ドラマファンは、私だけではないはずです。
それでは、2011年12月に凱旋門から見下ろしたパリの街をどうぞ。
大河ドラマと言えば、日曜朝にBSで「黄金の日日」が放送されていまして、私は毎回胸を熱くして見ています。今は亡き俳優さんたちがたくさんいますが、その名演技、若かりし姿に惚れ惚れしながら、今回、ナレーションの格調高さにも感動しています。時代のうねりを感じる戦国時代に胸躍らせています。
1980年の「獅子の時代」はパリでのロケ、2年前の1978年の「黄金の日日」はフィリピンでロケと、共に海外ロケが行われた革新的な大河ドラマでした。今回はコロナ禍で、フランスロケはかなわなかったでしょうが、「青天を衝け」もなかなか面白いです。生徒の皆さんにはあまり視聴率の高くない大河ドラマですが、歴史にも強くなれるから見てほしいなあといつも思っているオオバです。