夏休み前の「授業納め」の式で

西遠の夏休みが明日から始まります。今日は、中高に分かれ、講堂に入場して「授業納めの式」を行いました。いつもは中央の演台で訓話をしますが、今日は大きなスクリーンを下ろしてスライドを使い、「未来を拓く力について」お話をしました。

夏休みに身につけるよう意識してほしい「未来を拓く力」を、3つの観点からお話しました。

1つ目は、今年度から本格的に始まったICT教育に関連して、インターネットとどう付き合うべきかを考えました。6月に全校に配布した「西遠ICT機器利用3原則」の説明に加え、この3原則を掲げるにあたって資料とした2018年のPISAの調査結果の4つのグラフを見せました。

デジタル機器をどの程度「学習」に活用しているかの調査では、日本はグラフの一番下に位置しているのに、「一人用ゲームで遊ぶ」という項目だけは世界一。世界基準で考えた時、現在の娯楽のための使い方のままでいいのか?…それを一人一人によく考えてほしいと思いました。4つのグラフを見て、生徒の皆さんが夏休みのデジタル機器との付き合い方について再考し、実践することを強く望みます。

2つ目は、学園祭について。西遠では、学園行事は「主体性」を育てるための学習の機会であり、21世紀型スキルを獲得するチャンスだと考えています。昨年度オンライン学園祭を成功させた私たちは、今年、オンラインとオフラインを融合させた新たな学園祭を目指します。

「西遠OMO学園祭2021」…これが今年の学園祭の正式名称です。 OMOとは、Online Merges with Offline の略。正式名称と一緒に、今年の学園祭の組織図や、各学年の取り組みの意味を説明しました。全体を俯瞰して自分の位置や課題に気づく視点を持って、新しい学園祭に臨んでほしいと思います。

3つ目は、平和教育のことをお話しました。8月6日、9日、15日のサイレンの時間と意味を説明するのが、夏休み前のこの式での恒例となっています。平和についてきっと同年代の若者たちよりもかなり考えることが多い西遠生たちに、夏休みもまた、戦争や平和のニュース・行事・関連番組に関心を抱いてほしいと思っています。今年は、夏休みを前に、一人の少女の平和の詩を紹介しました。

今年6月23日の沖縄慰霊の日、沖縄での式典で、「平和の詩」を朗読した上原美春さん。その詩の内容も、表現力も、訴えの強さも、同世代の西遠生たちに見せたい、聞かせたいと強く思って、7月10日の講堂朝会の準備をしていました。自身の体調不良のために講堂朝会を実施できませんでしたが、今日、上原さんの詩「みるく世(ゆ)の謳(うた)」を全校で鑑賞することができました。(朝日新聞デジタルから動画を再生させていただきました。)

2017年、美春さんのお姉さんである上原愛音さんの平和の詩の朗読に心打たれて以来、私は沖縄の若い世代の取り組みを浜松の地で共有したいと思い続けてきました。今日、美春さんの朗読する詩の内容に真剣に聞き入る皆さんの表情を、私は舞台からずっと見ていましたが、上原さんの平和への熱い思いは、西遠生の心に確実に届いたと信じています。 西遠生には、こうした平和を継承する若者と連帯してほしい。それができる生徒たちだと私は思っています。

3つの観点から「未来を拓く力」について問題提起した今日の私の話が、生徒それぞれの胸の中でどう再生され、歩みだすのか、夏休みの彼女たちの歩みとその報告を静かに待ちたいと思います。

明日からの夏休み、三者面談も始まります。校区PTAも明日まで行われます。夏休みもまた、保護者の皆様・ご家族の皆様と手を携えて、生徒の成長を支援していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。