第112回創立記念式で話したこと

3月1日に行われた「第112回創立記念式」。
私がお話をしたのは、大きく2つでした。
1つ目は、「私たちは、西遠の112年という歴史と伝統の上に立っているが、同時に私たちの歩みこそが歴史と伝統を更新していることを、自覚し、意識していってほしい」ということです。
歴史や伝統は一夜にしてできるものではなく、幾多の先生や先輩が長い年月をかけて築き上げてくれたものです。
その積み上げられたものの上に私たちは生活できる、それはとても幸せなことですが、もしかしたらその幸せに気づかずにいるという人もいるでしょう。
記念式の2日前に、全校お別れ会がありました。
その第1部の式典の中で、卒業生代表の柘植さんが
「行事一つ一つを大切にしてください」と言い、
中でも「殉難学徒慰霊式は、西遠の平和教育の柱であり、平和の大切さを次へと伝承していくものです。」
と述べたことを、私はとても嬉しく感じました。
長く続く行事はいくつもありますが、もしも行事の形だけ表面だけを継承していったら、やがてその行事の意義は薄れ、行事自体すたれていってしまいます。
行事は「心」と共に伝承されていくべきです。
それを、柘植さんは教えてくれました。
生徒の皆さんがそういう認識を持ってくれたことを、私は大変頼もしく思いました。
記念式で語ったことの2つ目のこと。
それは、老校長先生の胸像の礎文です。
「幾度か辛酸をなめて志いよいよ堅し」
この言葉は、西郷隆盛の詩文がもとになっています。
今年の大河ドラマ「西郷どん」の主人公 西郷隆盛は、何度挫折を経験しても、諦めることなく信念を持ちつづけ行動した人として描かれています。
明治維新の立役者である彼の言葉を、創立者岡本巌先生もまた、大切に自分の言葉としていったのでしょう。
挫折を重ねても諦めることなく、不撓不屈の精神で、女子教育の根をしっかりと浜松に根づかせた岡本巌先生。
何もない「ゼロ」から始めた創立者の努力が、今は「112」という数字になっている・・・。
そのことを、生徒の皆さんも意識して日々を過ごしてほしいと私は思っています。
毎日、老校長先生の像の前で停止礼をするとき、思い出してほしいことです。
創立記念式でお話したのは、この2つでした。
記念式では、最初に西遠の歴史をまとめた番組を視聴しますが、一年に一度この番組を全校で見ることで、私たちは西遠の歴史を心に刻むことが出来ます。
学園の誕生日をお祝いするということは、そこに集う私たちが皆で歴史を想い、そこで生活する決意を新たにする日でもあると思うのです。