懐かしい本のお話 その3

昨日、またまた懐かしい本に遭遇。「その1」で登場した「若草物語」の文庫本を,我が家の本棚の隅っこに見つけました。

左の薄緑色の表紙の文庫本は、昭和47年6月1日発行と書かれていました。ということは、私が小学6年生の時に買って読んだ本です。2軒隣の本屋さんで購入した一冊です。この旺文社文庫は、文庫本ながら表紙がハードカバーだったことも、手に取って懐かしく思い出しました。「あしながおじさん」もこのシリーズで「完訳本」を読んだ記憶。そして、西遠の入学試験の面接で「最近読んだ本を教えてください」と聞かれた時に、「以前読んだ『若草物語』や『あしながおじさん』を文庫本で読み直しています」と答えた、その証拠の本でもあります(あの時の面接官は水野善次先生だったような…)。

中学生になると、読書の世界では、子ども時代の本から一気に大人の世界に足を踏み入れるため、ちょっと出足が鈍りますよね。その時に、私を助けてくれたのが、こうして、小さなころ読んだ外国文学の「完訳本」でした。日本文学は少し難しくて、中3まで手が出ませんでした。私が西遠生だった頃は、まだ「必読図書」や「すすめる本」は存在していませんでしたから、手探りで本を選んでいましたが、教員になって母校に戻った新任時代、西遠では夏休み前には学年ごとに何冊か挙げてその中から読書感想文を書くように指導していました。生徒が読むのだから私もしっかり読み直さなくては、と買った本たちが、我が家の本棚に今もあります。

「あゝ野麦峠」や「沈黙」はたくさんの生徒が感想文を書いたものでした。 右の「沈黙」は私自身も高校の現代文の教科書で習ったときに読んだものでしたが、あの頃は難しかったなあ…。教員になってから何度か読み返しました。西遠の生徒にすすめただけでなく、日体高校の非常勤講師を務めた時にもこの本を生徒にすすめ、たくさんの読書感想文を読んだ記憶があります。秀作ぞろいでした。優れた本には、素晴らしい感想文が集うものだと実感したものでした。

読書感想文の課題にはいろいろ批判も伴うようですが、一冊の本と向き合って自分自身について深く考えることは決して無意味ではありません。誰かの感想をコピペするのではなく、その本と向き合った自分を紹介する文章を、先生たちは待っているのです。

懐かしい本のシリーズ、またいつか。