ペンギンのお話~朝の読書週間にちなんで~

今週は、朝8:10~8:25の15分間を読書に充てる「朝の読書週間」です。
生徒の皆さんは、心落ち着けて読書に没頭してるでしょうか。
校内のこうした読書週間にちなんで、一冊の本を紹介したいと思います。
ペンギン、好きですか?
触ったことありますか?

これは、浜松動物園のペンギン君。
ペンギンと言えば、息子が幼い頃に「ピングー」(ペンギン一家のクレイアニメ)が大好きだったため、家には何体かピングーやピンガ(ピングーの妹)がいます。
私の枕元にも、ちっちゃいピンガちゃんが今もいます(笑)。
動物園のペンギンを見るのも好きです。
一度、旭山動物園で、頭上を泳ぐペンギンを見たいなあと思っています。
でも、本物のペンギンを「触った」ことはありません。
生態から考えると、結構くちばしでつつかれたら痛いんじゃないかなあと想像しています。
そんな私が出会った本がこちらでした。

「人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日」 
トム・ミッチェル著 矢沢聖子訳
(ハーパーコリンズジャパン)

どうしてこの本を注文したのかも忘れた頃、「予約していた本が届きました」というメールが来ました。
昨秋のことです。
コンビニで受け取って中を見ると、この愛らしい表紙が出てきたのです。
それでも、注文のきっかけも思い出せないし、いつ注文したのかさえおぼろげ…。
時間のある時に読もう、と思って、しばらく放置しました。
そして、冬休みに読み始めました。
筆者が油まみれの海岸で、たった一羽生き残っていたペンギンを、ほとんど衝動的に家に連れ帰り、力いっぱいの抵抗を試みるペンギン相手に悪戦苦闘し、浴室で彼の体じゅうにへばりついた油をぬぐい取ってあげるところから、ペンギンとの日々が始まります。
悪戦苦闘の際、このペンギンにものすごい力で抵抗されたために、筆者は血まみれになってしまうのですが、ある瞬間に、このペンギンが急に無抵抗になったのです。
ペンギンに筆者の真心が通じた瞬間でした。
それからというもの、彼は筆者に対して全幅の信頼を置くようになりました。
童話かメルヘンの中に身を置いたような心地(でも時々スリルとサスペンスもあり!そして、この本は、フィクションではなく、実話です!)で、私は、筆者と「フアン・サルバドール」(通称 フアン・サルバド)と名付けられたペンギンとの日々を読み進めました。
とにかく、フアン・サルバドがかわいい!愛くるしいのです。
出会う人誰もが彼のファンになります。
口のきけないはずのフアン・サルバドに悩みを打ち明けると、彼はきちんと寄り添ってくれる・・・。
やることなすことに自信が持てない少年の心まで、彼は解きほぐしてしまいました。
本を開けば、愛くるしいフアン・サルバドに会える、
その楽しみから、毎晩少しずつ少しずつ読み進めた私でした。
大事なクッキーの箱を、毎晩開けては中のクッキーを一枚だけ食べて、慌ててふたをして戸棚にしまうように!
しかし、実話です。
出会いがあれば別れが来ます。
別れのシーンが近づくにつれて、本を開くのが辛くなりました。
そして、遂にそのページにたどり着いてしまったのは、調剤薬局で順を待っているその時でした。
落涙必至!
慌てて本を閉じました。
ここは、夜、一人で読まなくてはいけない! そう思いました。
帰宅して、深夜に再びこの本を開き、筆者と共に、フアン・サルバドとの別れに静かに涙しました。
・・・あまり書いてはいけませんね、ネタばれしちゃいますから。
もし、心が疲れている人がいたら、この本をお勧めします。
この本を開けば、国も時も超えて、愛すべきペンギン「フアン・サルバド」に心癒されることでしょう。
ペンギンのお話でした。