6月23日は、沖縄慰霊の日でした。
午前のオープンスクール、午後の母親学級の講座を終えて、校長室に戻ってパソコンを開くと、慰霊の式典のことがネットのニュースでも取り上げられていました。
昨年、偶然車を運転しながらこの式典のラジオ中継を聞いたことが、脳裏に甦りました。
あの時、高校生の朗読した詩にとても心を揺さぶられ、後日、生徒の皆さんにも紹介しました。今年は、中学生が詩を朗読したと知り、早速その詩を探しました。
幸い、毎日新聞で全文を読むことができました。→こちら
その詩の作者 相良さんの中学生とは思えないほどの語彙と感性に驚きました。
出だしから、まるで谷川俊太郎の「春に」を彷彿とさせるような詩。
今という時間から、73年前の沖縄戦へ、見事にその対比が語られ、未来への決意が込められた詩。
感動し、涙が出そうでした。
ニュースで彼女自身の朗読を見ました。
もちろん抜粋でしたが、何と力強い朗読かと、再び感動しました。
その後、じっくりと味わいたいと思い、全文の朗読を再生したところ、母までが彼女の朗読に聞き入りました。
全文を暗唱して、式典に凛として臨んだ彼女の表現力にも感嘆しました。
龍谷大学の学長さんが「大学生諸君、沖縄の中学3年生が書いた『平和の詩』を机の前に貼って、毎日読んでください。」とツイッターで呼びかけるなど、相良さんの詩に触発された人は多いのではないでしょうか。
昨年と言い、今年と言い、沖縄の少女たちの詩は重く、力強く、そして研ぎ澄まされた感性で全編が貫かれています。
相良さんの詩を、ぜひ、西遠の生徒の皆さんにも読んでほしいと思っています。
若い感性で「平和」について力強く述べた14歳の相良さん。
私のもとには、相良さんより70歳ほど年上の皆さんが書かれた一冊の本があります。
「戦争に翻弄された私たちの子ども時代」と題されたその本は、
静岡県西遠女子学園中学・高等学校 昭和27年度卒業生有志
の皆様の、戦争体験記です。
先日、その中のお一人齋藤よう様のご親族から、この本をいただきました。
83歳の皆様が、西遠にまだ入学する前の、昭和19年12月の大地震、そしてそこから急に激しくなった空襲、機銃掃射、艦砲射撃、終戦…といった体験を綴っていらっしゃいます。
まえがきには、
「現在83歳ということは、子どもの頃、戦時下の庶民の姿を見ていて、それをはっきりと記憶していて、書くことができるものがたくさん残っている世代の最後かもしれません」
とあります。
あとがきには、
「子供や孫に話しても、あまり熱心に聞いてはくれない思い出話も、こうして残しておけば、いつかは興味を持ってくれるかもしれません。ちょうど私たちが、亡くなった両親や祖父母に生前聞いておけばよかったと考えることがあるように。」
と書かれています。
生死の分かれるような体験をされながらも、戦争を生き抜いて西遠に入学された皆様、そしてそこで生涯の友と出会い、こうして80代を迎えて平和への強い思いを訴えようと考え実行された皆様の熱い心を、しっかりと受け止めなくてはならないと思いました。
14歳の詩。
83歳の皆様の文集。
どちらからも、戦争は二度としてはいけないのだという、共通の強い叫びを感じます。
きっと27年度卒業生の皆様方も、23日の相良さんの詩に心揺さぶられたであろうと思いながら、その中間の世代である自分自身がすべきことは何か、考えさせられています。