小さな白板 第33週

クリスマスももうすぐ。師走の図書館入り口に置かれた「小さな白板(ホワイトボード)」、12月13日から今日18日までを振り返ります。

12月13日(月)
 ガラスの海の向こうには/広がりゆく銀河/地球という名の船の/誰もが旅人  松本 隆

ご存じ松田聖子さんが歌う「瑠璃色の地球」の歌詞の一部です。松本隆さんの詩は一曲が一冊の物語か映画のようで、太田裕美さんや松田聖子さんの新曲が出るたび、私はいつもその世界に圧倒されてきました。「瑠璃色の地球」を初めて聞いたときは、なんて壮大な歌なんだろうと驚き、恋愛模様ではなくもっと大きな愛を歌うように、聖子さんの世界を広げたんだなと妙に納得したことを覚えています。昨年コロナウイルスにより世界中が暗くなってしまったとき、この曲が再び歌われ始めましたね。♪夜明けの来ない夜はないさ♪とか♪朝日が水平線から光の矢を放ち♪など、歌詞がどこをとっても美しい…。世代を超えて口ずさんでいけたい曲です。

12月14日(火)
 あなたは教えてくれた/小さな物語でも/自分の人生の中では/誰もがみな主人公 さだまさし

火曜は、さだまさしさんの「主人公」の一節を取り上げました。この歌は、ある大みそか、紅白歌合戦で歌われました。それまで何度も聴いてきたのに、紅白で改めて聴いたら、不覚にも泣けてきてしまった曲です。ウィキペディアによれば、それは1993年の第44回NHK紅白歌合戦の時だそうです。1993年と言えば、子育ての真っ最中、西遠に戻って2年目のことでした。ってことは、私が「ハイホーハイホー」(1年雪組学級通信)を書いてた年だ!わが子はもちろんだけれど、初めて持った中学1年生の子どもたちの存在があったからこそ、心にしみて涙したのかもしれません…。

12月15日(水) 平凡がつづく日常の幸ひは娘のゐること娘と居ること   松尾さくら

松尾さくらさんのこの短歌は、朝日新聞2021年11月28日の「朝日歌壇」に掲載されていた短歌です。娘を持つ身として、今は浜松と東京に離れ、コロナ禍で娘とは2年近く会っていないこともあって、この歌を詠んだ時、思わずジーンとしました。娘のゐること、そして、娘と居ることの幸福、しみじみと思います。母親学級の皆さんが来校するこの日に、私はこの歌を白板に書きました。反抗期のお嬢さんたちと日々バトルのお母様方にお届けしたいな、と思って。

密を避けるため、参観授業は大教室を使用。

今週は、中学1・2年生の授業参観もありました。母親学級や授業参観も、コロナの影響でなかなか実施しにくく、ようやく開催にこぎつけたものです。そんな行事に、保護者の皆様が数多くご参加くださり、お子さんとの日々をいかに大切にされていらっしゃるか、ひしひしと感じました。お仕事などでご来校できなかったご家族の皆様も、学園でお子さんがどんな表情で過ごしているのか、気になる方ばかりだと思います。できなくなってしまった行事は、写真や動画で各学年がプログラムするようにしていきます。

そんなご家族にとっての幸いは、生徒の皆さん、あなたたちが存在していること、そして一緒にいることなんですよ。

12月16日(木) 今できることをするしかないでしょう今日が一番若いんだから   桜田幸子

これは12月12日の「朝日歌壇」掲載の短歌です。そうだ!やるっきゃない!と、この短歌が私の背中を押してくれました。「今日が一番若い日」という感覚、大事にしたいですね。とはいえ、生徒の皆さん委はあまりピンとこない歌かも。年を重ねると、・・・分かります!

12月17日(金) なんでもない会話なんでもない笑顔なんでもないからふるさとが好き  俵万智

何気ない日常が、故郷の良さ。俵万智さんが「サラダ記念日」の中で発表した短歌です。俵万智さんの感性は、本当にみずみずしいですね。この「サラダ記念日」の20代のころも、そして子育ての最中も、今も。

11月18日(土) 倒れこむ駅伝選手称えつつタオル掛けやる補欠選手よ   藤田一男

駅伝の季節ですね。12月26日の全国高等学校駅伝や、お正月の箱根駅伝など、これから注目の駅伝大会が続きます。タスキをつなぎ、団結してゴールに向かうこの競技で、この短歌の作者は、走り切った選手ではなく、その人の背中にタオルを掛けようとする控えの選手に注目していますね。補欠の選手は自分の走りたい気持ちを抑えて、チームのサポートに尽力する。そんな選手への温かい視線が感じられる、すてきな一首です。

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今日は一段と冷えていますね。寒い寒いと連発しつつ空を見上げると、いつもにも増して青空が澄み切っていました。