図書館入り口の小さな白板(ホワイトボード)、成人の日の祝日明けの1月11日(火)から始まった第37週を振り返ります。今週は、メッセージ特集です。
1月11日(火)
だれかを救うということは、のちにあなたが救われることにもなります。世の中は鏡のようにお互い反射し合っているので、自分の起こしたアクションはその子の鏡に映り込んで、いつかあなたに戻ってきます。 サヘル・ローズ編・著「支える、支えられる、支え合う」より
12月の講堂朝会でも紹介したサヘル・ローズさんの本から、一節を紹介しました。世の中は鏡のように反射し合っている、という考え方に、はっとさせられました。まさに「情けは人の為ならず」ですね。大事にしたい考え方です。
1月12日(水)
短歌を作ることで丁寧に生きられるようになる、というところが一番の魅力だと思います。俵万智
短歌の魅力を語る俵万智さん。今年の元日に、俵万智さんが「朝日賞」を受賞しました。そのインタビューを読むと、短歌を作るということへの俵さんのまなざしが分かります。実は、この文には、こんな続きがあります。
短歌を作ることで丁寧に生きられるようになる、というところが一番の魅力だと思います。たとえば「来週まで一首作ってきて」と言われたら、この一週間の心の持ちようが、おそらく変わると思うんですよ。「あっ、今の感じを五七五七七にしたらどうなるかしら」と、小さなときめきや気づき、不思議に思ったこと、暮らしのなかで感じた何かしらに対して立ち止まり、言葉にする過程で深く味わい直すことになる。それがまさに、丁寧に生きるということだと思うんです。結果として歌が形に残りますけれども、詠むという行為、そこに至るまでの時間を含めて豊かなものだと思いますね。
俵万智 2022年元日「朝日賞」受賞のインタビューより
丁寧に生きる、という言葉が心に残りました。丁寧に生きる心の持ちようを心がけてみようと思います。皆さんの心にも作歌の種が蒔かれたでしょうか。
1月13日(木)
自分の気持ちにふさわしい言葉を、丁寧に選ぶという作業は、地味でパッとしないことですが、それを続けることによってしか、もう、私たちの母語の大地を再び豊かにする道はないように思うのです。 梨木香歩「ほんとうのリーダーのみつけかた」より
この日の言葉も「丁寧」がキーワードです。自分の気持ちにふさわしい言葉を丁寧に選ぶ作業でしか、母語の大地を豊かによみがえらせることができない、という梨木さんの訴えは、言葉を適当に使って深く考えないでいる社会への警鐘のように聞こえました。 テレビをつければ、バラエティやお笑い番組で、言葉が軽く面白おかしく、時に無頓着で粗暴に使い捨てられています。 政治の世界でも、言葉の薄っぺらさがとみに感じられます。一語一語を大切に選択する作家の姿勢は、そうした社会の母語の荒廃に必死に抗っているように見えます。私も、日本語を丁寧に選択して使っていく側の人間でありたい、と改めて思いました。
1月14日(金)
悩んでいる暇があったら、イエスかノーか、自分の心に聞いて、まず選択してみることです。その選択の連続の先に、自分の未来が続いてゆく。
山口智子 「Dear Girls」( 朝日新聞出版 )より
女優の山口智子さんの言葉を紹介しました。明日から大学入学共通テストに臨む高校3年生の皆さんに、そうっと贈る言葉として・・・。さばさばした性格で颯爽と生きている印象のある山口智子さん。役柄にも、その生き方のまっすぐさ・爽やかさが反映しているように思われます。悩んだ時に迷いとどまるのではなく、心に聞いてどちらかの道を選択する!という思い切りの良さ。皆さんが窮地に追い込まれた時、ぜひ思い出してほしい言葉です。
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【おまけの裏話】昨年4月から使い始めた白板(ホワイトボード)ですが、つきにくくなったマーカーを他のメーカーのマーカーに替えた途端、字が思い通りに書けなくなっただけでなく、ガーン、急にきれいに消せなくなりました! 今週の写真をご覧いただくと、水曜にマーカーを替えたことがお分かりかと思いますが、木・金には、字のあとが残り、ホワイトボードの表面が白くならなくなって、ちょっと薄汚れた感じになってしまったのです。
マーカーも白板もピ~ンチ!と焦ったオオバは、文具屋さんに駆け込みました。新しい白板に交換すべきなのか、何かきれいにできるグッズはあるのか、そして新しいマーカーも買わなくちゃ…。そしたら、白板をきれいにするスプレーがありました!今まで使っていたマーカーのインクのレフィルも見つけました。やった!
白板を使うことに不慣れで、今回「小さな白板」を日々書くようになって、マーカーやらクリーナーやら白板やらに次々新たな問題が起きては、初心者オオバは焦って走り回っている次第です。今回は、スプレーで拭き取ったら、ホワイトボードはかなり美しく甦りました。ほっ。
来週からは、きれいになった状態で再び図書館入り口に立ちます(主語は「私」ではなく「白板」)ので、どうぞあたたかい目で見守ってください。