図書館入り口の「小さな白板(ホワイトボード)」、1月17日からの週を振り返ります。第38週は短歌特集。
1月17日(月) 転んでもぼくはただでは起きないし転んだのは世界 ぼくじゃない 斉藤斎藤
週の初めは、この短歌から。この考え方、受験生には絶対必要ですね。受験生への心からのエールを込めて。なんといっても、白板を見た生徒たちには作者名が話題になった短歌でした!
1月18日(火) 手の指をひらいてパーをつくるときチョキのことだけ考えている 永井祐
掌を開いて無防備なパーを作ると、攻め込んでくるチョキが気になる…。じゃんけんといえば、西遠時代、私は大きな手の平で堂々とパーを出す友人の迫力に委縮してよくグーを握っていましたっけ…。この短歌に出会って、久しぶりに彼女とのじゃんけんを思い出しました。
1月19日(水)
たっぷりとすくえばゆるくとろけゆくバターのように今日のシエスタ 野口あや子
19日は、中学生徒会が企画した「西遠シエスタ」の日でした。中学生たちは、15分間のシエスタ(お昼寝)タイムをどんなふうに使ったでしょう。会合があって視察に行けなかったので、せめて白板でシエスタの短歌を紹介してみました。バターのようにとろけるシエスタ、私も憧れます。
1月20日(木) 世界観コロナ禍二年で崩れつつ人はさびしく己れを守る 馬場あき子
この2年で本当に世界観が変わりました。でも生きていかなくちゃいけないのだから、人は己を守って寂しくても厳しく生きていくしかない。決然とした思いを感じて紹介しました。
1月21日(金) 再会を喜びとなす遺伝子をひとはみな持ち生まれてくるか 富田睦子
コロナの時代だからこそ、再会する喜びは大きいものです。誰もみな、この気持ちはわかるでしょう。週の終わりは、コロナ禍の中でも希望を感じさせるこの短歌で。
今週の短歌は、五首共に「短歌研究」2022年1月号からご紹介しました。猫のイラストの表紙がなんともかわいい月刊誌「短歌研究」、隅から隅までじっくり読むというまでには至っていませんが、心穏やかに読むことのできる月刊誌として、私の新たな愛読書になっております。
1月号には付録の小冊子「 短歌研究ジュニア2 短歌トラベル大図鑑」がついてきました。この小冊子は、旅行に行けない今の時期に、短歌とイラストで旅ができる企画です。飛行機と自動車と電車と船の短歌が紹介されています。皆さんは、どの旅がお好きですか?