休校・オンライン授業だった1月31日から、高校入試、登校再開という「激動」の一週間の「小さな白板(ホワイトボード)」を振り返ります。
1月31日(月)
だけど、目では、なにも見えないよ。心でさがさないとね。
サン・テグジュペリ「星の王子さま」より
1月31日はオンライン授業最終日でした。期間中、白板は図書館入り口ではなく、校長室の入り口に飾っておりました。
「星の王子さま」は永遠の名作。1月最後はこの言葉で。
「大切なもの」は目で見えるものではない、と王子さまはキツネから教わり、飛行士に伝えます。目には見えない大事なもの、形のない大切なものを人はたくさんもらい、それに気づかず生きているように思います。王子さまの本を開いて、時々は自分を省みないといけないかもしれません。
2月1日(火)
Remember 生まれた時/だれでも言われた筈/耳をすまして 思い出して/最初に聞いた Welcome
中島みゆき「誕生」より 作詞:中島みゆき
西遠で長く続いている「思春期講座」。この講師を長く務めてくださった鈴木勝子先生が、中2の親子が聞くこの講座の最後に、中島みゆきの「誕生」を流してくださったことを覚えています。改めてこの歌詞を読み直し、「原点に帰る」という意味で2月の最初に掲げました。
2月2日(水) どうしてこんなに完璧に咲くのだらう梅は、まつしろな林道をゆく 西巻真
西巻真さんの歌集『ダスビダーニャ』より。ダスビダーニャとは、「また会いましょう(さようなら)」を意味するロシア語です。
彼の短歌は、心が泣いているような寂しさや、けがれのない美しさを感じさせます。
この短歌は、梅が咲き始めるころに白板に書こうと思っていました。完璧に咲く梅の白い色は彼の目にどう映ったんだろう、心にどう迫ったんだろう…そう思いながら、開花したばかりの西遠の枝垂れ白梅を眺めました。
この日から登校再開となり、白板は再び図書館入り口に置かれるようになりました。
2月3日(木)
そんなにいい子でなくていいからそのままでいいからおまへのままがいいから 小島ゆかり
節分。鬼は外、と声高らかに豆まきをしたおうちもある思います。我が家も平均年齢79歳の3名で豆まきしました。
人は心の中に鬼を持っていると聞きます。醜い心や、妬みとか憎しみとか…。思春期には特にいろんな心情が押し寄せてきて、自分でもどうしようもないことがあるだろうし、そんな自分を嫌いになる人もいるんだろうなと思いながら、この歌を書きました。いい子でなくていいから、という「いいから」の繰り返しが心に迫ります。心の中に鬼がいたっていいから、あなたはあなたで大丈夫だよ、と。
2月4日(金) 春立ちぬ夢多き身はこの日より髪に薔薇の油をぞ塗る 与謝野晶子
立春に寄せて。
鏡に向かい、長い髪にローズオイルを塗って、目を閉じてその香を吸い込んでいる少女が浮かびます。春の訪れに心ときめく「夢多き少女」のちょっと背伸びした華やぎを感じました。
与謝野晶子の革新的な短歌は、へこんだ時に元気と力をくれますね。
以上、第40週の白板をご紹介しました。立春を迎えたとはいえ、まだまだ寒い日が続きそうですがが、そんな時は少し視線を上げて、木々の花芽をぜひ探してください。膨らみ始めた蕾に、春のエネルギーの存在を見つけることができると思います。