女性の生き方を考える

西遠では、毎年、中1から高2までの生徒が「女性の生き方を考える作文」を夏から秋にかけて書くことになっています。身近な女性に職業の内容ややりがい、大変さなどをインタビューする中学1年生、働く意味について新聞記事をまとめたり、職場体験での経験や思いを綴ったりする中学2年生、歴史の中にその名を刻む活躍をした女性の人生に触れて考えをまとめる中学3年生。高校1年生は、現代社会に生きる女性たちの一人に焦点を絞って考えをまとめ、高校2年生は、日本や世界で起きている出来事を調べて女性の生き方について考えます。

この作文の課題は書いて提出して終わり…ではなく、自身の主張を級友に届け、その代表が、「弁論大会」に進むことになっています。

今日は、その「女性の生き方を考える弁論大会」の日でした。この大会は、毎年、国際ソロプチミスト浜松の皆様のご後援をいただいて開催しています。今日も、ソロプチミストの岡本様と斎藤様がご臨席くださり、3時間目は中学生6名が、4時間目には高校生6名が弁論を行いました。

中学の部では、1年生の新村さんが、一級建築士の女性を訪ね、女性への偏見に対してもポジティブに挑む人生の先輩に触発された体験を語りました。同じく1年の垂水さんはピアノの恩師にインタビューし、仕事は生きることの喜びだと知ったことを述べました。

中学2年生は、新聞記事との出会いからの弁論です。中村さんは「命の関わる仕事」と題して、助産師として起業した女性の新聞記事を紹介しました。鈴木さんは、IT業界の男女差をテーマに「性別にとらわれない社会」について主張しました。

中学3年生の植田さんは、「体操」という自分との共通点から興味を持った女性ベラ・チャスラフスカさんの「魂」「信念」について発表しました。大野さんは、マララ・ユスフザイさんの国連での円雑の一説を紹介し、自分の一本のペンから何かを変えられるかを深く考えました。

高校1年生は、現代に生きる女性の一人をテーマに選び、その生き方を掘り下げます。飯田さんは、現在93歳の経済学者 暉峻淑子(てるおかいつこ)さんの著作「社会人という言葉」を読み、考えをまとめました。山本さんは佐世保の女児殺害事件を取り上げた香山リカさんの本を読み、「寄り添う」ことについて自身の体験を踏まえて考えを述べました。向井さんは、地元掛川にある「ねむの木村」の創立者で昨年亡くなった宮城まり子さんの生涯を紹介しながら「教育」について考えました。

高校2年生は、山本さんが「だれもが正社員として働ける世の中に」と題して、専業主婦が正社員に復帰するのは無理なのかという記事を紹介し、女性が働くということについて考えました。宇田川さんは、女性の社会進出が世界に比べて遅れている日本の現状に触れ、ジェンダー平等を図るためにどうしたらよいうのかを考えました。平賀さんは、日本とアイスランドのジェンダーギャップの実情を比較しました。

3時間目の中学生も、4時間目の高校生も、自分自身が取材した内容を分かりやすくまとめ、自分の声で会場の生徒たちに想いを熱く述べました。弁論というのは、作文を朗読するのとは全く違います。人に聞かせるために出場者12名はよく練習し、堂々と弁論していました。とても爽やかな、そして考えさせられる弁論ばかりでした。

国際ソロプチミスト浜松の岡本会長様より出場者に「盾」が贈られました。そして、高校生には、岡本様より、いま日本では女性の貧困問題が深刻であること、男女の良さが両方合わさってこそ素晴らしい社会ができるのだというお話がありました。女性や女児のために様々な活動を行っているソロプチミストの皆様からのメッセージもまた、生徒たちの心に深く響きました。

自分の意見や決意を弁論した出場者たちも、それを客席で聞いた生徒たちも、自分の視野を広げることができたことでしょう。知らなかったことを知り、世の中を見る目が少し広がったり、新たな視点を得たりすることで、自分の未来を築く力がついてくるはずです。女性の生き方を考える機会として、この作文の課題と弁論大会は、これからもソロプチミストの皆様の応援をいただき、大事に続けていきたいプログラムです。

国際ソロプチミスト浜松の皆様、今年も弁論大会に温かいご支援を賜り、誠にありがとうございました。