小さな白板2022 第1週

2022年度(令和4年度)も、図書館入り口に「小さな白板(ホワイトボード)」を掲げます。今年度もどうぞお付き合いくださいね。

4月5日(火)  なんにでも成れそうな日もあしたさえないような日も高校時代   江尻恵子

高校入学式の日、新入生に紹介した短歌がこちらです。第9回河野裕子短歌賞の「選者賞」に選ばれた江尻恵子さんの短歌に出会い、高校生活をスタートさせる皆さんへのエールとして紹介しました。いろんな日がある高校時代、そのすべてを糧にして3年後笑顔で卒業してほしいと思います。頑張れ、高校1年生!

4月6日(水) クラス替えはじめましての友達に敬語で話す新しい自分  白石茂

令和4年度始業式の日。クラス替えの発表に一喜一憂のある日です。後に振り返れば笑い合える、そんなクラス替え初日の緊張感です。はじめましての友達と、どうぞこれから素晴らしい日々を紡いでゆけますように。

4月7日(木) 散るという飛翔のかたち花びらはふと微笑んで枝を離れる  俵万智

俵万智さんの短歌には、ほっとするような温かい視点があります。桜の花びらが「飛翔」する、微笑んで枝を離れるという想像力。枝を離れていく桜の花びら一枚一枚がいとおしくなり、心優しくなれるひとときです。

4月8日(金) 
 さくらいろ愛(かな)しきまでに透きとおる駿河の春の桜蝦(えび)漁   石津谷深

昨年の5月23日、朝日新聞「朝日歌壇」で見つけた季節の短歌です。作者の石津谷深さんは浜松市の方です。桜エビ漁はここ数年不振が続いていましたが、駿河の春の風物詩であり、その漁に携わる人々にとってはかけがえのない収穫です。引き上げられた桜エビの、透明感のある桜色の小さな小さなからだを想いました。

4月9日(土)  制服は未来のサイズ入学のどの子もどの子も未来着ている  俵万智

俵万智さんのこの短歌は、一日前に横浜サイエンスフロンティア中・高等学校の千葉聡先生が「小さな黒板」に書かれていました。同じ日、俵万智さんがツイッターで、装丁家の菊地信義さんの死を悼む言葉を載せていました。私は、中学入学式の日の白板には他の詩を紹介する予定でいたのですが、このお二人に触発されて「未来のサイズ」を再び手に取り、読み直しました。俵万智さんの子育てと共にある短歌の数々、一冊の本が出来上がるまでに菊池さんのように本を作るたくさんの人々が存在すること、そこに触れた俵さんのあとがきの優しさ、この短歌を取り上げ「生徒たちは、未来そのものです」と書かれた通称ちばさと先生の思い…いろいろ考えて、私もこの短歌を入学の日の白板に書くことにしました。
昨日はじめて西遠の制服にそでを通して彼女たちの未来が素晴らしいものでありますように。その未来を創る責任を校長としてひしひしと感じています。

明日から全校生徒が揃って制服姿で登校します。元気に歩んでいきましょう!