HR展で得られたもの その2

みんなで一つの教室をテーマにふさわしい展示空間に変えていく時、生徒たちはどんな力を得るのでしょうか。

「HR展で得られたもの」、その2回目の今日は、「一人」ではなく、「クラス皆で作ること」を通し、成長した生徒たちの声です。
☆何もないところからのスタートで、どこから手を付けていけばいいのか全く分からず、手探り状態でしたが、責任者の意見とクラス全員の意見をみんなで出し合い、少しずつですが進めています。特に、ぶつかり合うことで、クラスの団結力がどんどん上がっているような気がします。
☆責任者を務めた経験がありますが、当時は本当に大変で、もう全て投げ出してしまいたくなるくらいでした。もう1人の責任者に、なかなか私の意見を聞いてもらえず、結構悩みました。でも、2人ともこのHR展を良いものにしたいという思いは同じだったので、何とか完成にこぎつけることができ、よくここまでこられたなと達成感と共に、不思議な満足感があったのをよく覚えています。みんなで仲良しこよしで平和に作り上げていくのも良いとは思いますが、ぶつかり合ってバチバチいった方が断然よいものができるという可能性があるのは確かだと思います。

「ぶつかり合ってバチバチいった方が断然よいものができる」という言葉に共感しました。
平和的に「あたらず さわらず」では、現状維持や自己満足で終わってしまうこともあるでしょう。
ぶつかるからこそ得られるものがある!
そこに気づいた生徒たちが多くいました。
学園祭、パフォーマンス大会、音楽コンクールなど、学園行事の準備段階で、クラス内でもめることがあります。
私は、それを待っています。
クラスが伸びるチャンスだからです。
友との意見のぶつかり合いを乗り越えてこそ、
頂上が見えてくると思うのです。

いろんな性格の人がいます。
自分の意見が絶対ではありません。
相手を認め、共に考える姿勢は、クラスの中だけでなく、
地域で、世界で生きていく力になります。
☆人には向いている点もあれば、向いていない点もあります。その凸凹を生かしながら、手を取り合って作業を進めるべきだと思いました。
クラスの友人たちの個性の凸凹が、実はとっても大事。
個性の凸凹が分かるということは、かなり信頼度も増している証拠です。
おとなしい性格の生徒からは、こんな本音と成長とが語られました。
☆話すこと自体が苦手ですが、そうは言っていられません。作業している人や責任者に、帰ることを伝えることも私は苦手でしたが、最近では慣れてきて、必ず誰かに伝えることを意識してできるようになりました。コミュニケーションやコラボレーションが得意な人には些細なことかもしれないけれど、私にとっては一歩であります。今まではHR展の意味を理解することが大変だったけれど、改めて4月から9月の5ケ月は完成までの過程であり道であると思いました。
☆私たちの班は、世界との関連性や外国人へのインタビュー内容という問題を解決するために、責任者も交えて何度も話し合いを行いました。そこでは、相手に自分の考えを伝えることの難しさを実感しました。自分の思っていることがうまく相手に伝わらず、話がかみ合わなくなってしまったことが、多々あったからです。しかし、お互いに疑問を投げ合うことで、「なるほど。相手はこういうことが言いたかったのだ」と理解し、より良いアイデアを出し合うことができました。私は、あまり人と話すのが得意でなく、そこが自分の嫌いなところでしたが、クラスメイトとならしっかり話し合えるのだなと自信にもつながったし、クラスのみんなへの信頼が深まったと感じました。

自分の性格の殻を破って、一歩踏み出す――大きく成長した瞬間ですね。
行事の中で、人は大きく変わっていくのだと思います。
「4月から9月の5ケ月は完成までの過程であり道であると思いました」
という文を読んで、「星の王子さま」の井戸探しの旅を想いました。
砂漠の真ん中で井戸を見つけるという過酷な旅の中で、「ぼく」と「王子さま」は心を許し合い、信頼を深めていきます。
やっと見つけた井戸の水の、それはそれは美味しかったこと…。

HR展の完成された教室は、砂漠の井戸の水の美味しさとも重なるのではないでしょうか。