学園祭HR展で得られたものとは?
西遠では、行事を「新しい課題探究型の学び」として捉えています。
学園祭のHR展を通じて、生徒たちが成長するということは、私たち教員が与えたものではなく、彼女たち自身が見つけていった結果です。
今日はシリーズその4。
生徒たちが学園祭という行事とどう向き合い、一年一年を過ごしてきたのかをご紹介しましょう。
いわば、生徒たちの「自分史」です。
☆小学生の頃、西遠の学園祭に来て、「自分たちが調べたことを教室いっぱいに展示できるなんてすごいな」と思った記憶があります。中1,2年の頃は早くHR展をやりたくてしょうがなかったし、責任者としてまとめている先輩の姿にとても憧れていました。昨年は、来年HR展をやる!ということを意識して、HR展を全クラス回りました。どのクラスもそれぞれの展示ごとに様々な工夫があって、すごすぎて、来年本当にできるのかなあと思っていました。それが今、クラスのテーマが自分の企画案で、責任者にもなっているということに、とてもびっくりしています。今、一番感じていることは、みんなで協力してやれば、大きなものを作ることができるということです。きっと4,5年の先輩方はもうHR展を経験していて当然のことかもしれません。でも、一人一人に個性や得意分野があって、みんなで協力し合ってHR展に取り組むことで、自分の想像以上のものが作れるということは、私にとってはとても大きな感動です。(中学3年生)
満を持して、HR展デビューした中学3年生。入学前から期待と熱意をもって見学してきたHR展で、ついに自分がやる番になり、自分の企画書が通り、責任者になった…。何とも劇的な展開で、思わず「がんばれー!」と応援したくなります。協力すれば大きな物でも作れる、という実感。初めてのHR展を通して知ったこの思いこそ、来年への下敷きになりますね。
☆これまでHR展を通して私が成長できたと思うことは、やはり「ものづくり力」と「情報収集力」「計画力」です。まず「ものづくり力」。ダンボールをきっちり測って線を引く、カッターで切る、という作業を何回繰り返したか分からないほどやって身についたり、紙粘土でいろいろなものを作りまくって、紙粘土さえあれば何でもできる気がしたり、ペンキで色を塗りすぎてローラーの達人になったり。HR展でものづくりをしていく上で、どんどん成長して、絶対中学1年生の時にはできなかったことが身につきました。「情報収集力」は、実際に取材をして話を聞いて、それを正確にまとめること。インターネットや本、新聞などから手に入れた情報をそのまま書くのではなく、自分の中で一度理解して、納得して、情報の取捨選択をしながら、分かりやすい文にしていくことを学びました。「計画力」は、明日までにこれとあれとそれをやる、と、一日でやることを決めて皆に動いてもらうことです。また、一ヶ月の大まかな計画を立てたりもしました。この力は、確実に勉強にも役立てられると思います。自分自身の力が身についたのも嬉しいですが、クラスの皆との団結力がぐっと強まることが一番うれしいです。(高校2年生)
3回目のHR展に臨む彼女は、今までの自分自身を振り返り、自分がどんな力を得たのかをまとめてくれました。自信を持って、その力がついた!と言える高2の先輩たちを見て、きっと後輩たちはそこを目標にまた頑張っていくことでしょう。
昨年度でHR展を終えて、今年は違う立場で参加する高校3年生たちは、長い道のりをこう振り返っています。
☆私は部活発表の練習でほとんどHR展の準備に参加できなかったのですが、午後6時に部活が終わると音楽室から教室まで全力でダッシュして、片づけや掃除だけ手伝っていました。休日になると、午前練習を終えた後、教室に行くと、日曜は、普段の活動時間には会えない友だちに会えるのでとても楽しかったです。あっという間に受験生になってしまったので、今日の講堂朝会のスライド写真を見ていて、下級生が楽しそうで私もとても嬉しかったです。西遠の学園祭では、本当にたくさんのことが学べるな、と私も経験してきて感じています。巨大製作物の材料や素材を、本物に近づけるよう工夫してみても、実際にやってみるとうまくいかなかったり、テーマに合わせて教室の内装を変えたり、外国人のお客様に伝わりやすい英語を考えたり、全て生徒たちが主体になってHR展を動かしていきます。ケンカになったりすることもたまにあるけど、賞を獲った時の感動や達成感は、西遠のこのHR展でしか味わえないものだったんだと、6年生になった今感じています。特に5年生の最後のHR展は、評価基準に気をつけながら、お客さんが何を知りたいのかという客観的な視点を取り入れることができました。社会人になって会社に入ったあとにもとても役立つことを、この学園祭で学ぶことができました。(高校3年生)
☆21世紀型スキルとして、思考の方法、働く方法、仕事のツール、世界の中で生きる方法が求められている。これらの力は、西遠の行事を通して身につけることができる。人間には、得意なこと、不得意なことがある。そうすると、得意なことばかりを磨いていく人間がいる。こういった人々は、自分の失敗を恐れ、他者の目を気にして、自分の良いところだけを見せ、悪いところを隠そうとする習性がある。私は西遠に入学するまで、このような人間だった。しかし、西遠に入学して、初めて学園祭を経験して、人間として大きく成長することができたと思う。西遠では、中1で貼り絵、中2でポスターセッション、中3から高2がHR展を学園祭で行う。中高一貫校ならではの取り組み方で、中1から徐々に力を身につけ、その集大成としてHR展で地域と世界の未来を考えていく。私は高校から入学したため、計2回のHR展を経験した。初めてのHR展の時、他の学校で行われているメイド喫茶やお化け屋敷を想像していたため、とても驚いた。自分たちでテーマを考え、教室の配置、巨大製作物を作る、という過程の中で、他者との協力、創造力、コミュニケーション力…など、いろいろな力を身につけることができる。他校のように面白いことをやりたい!と心の底で思っている後輩がいるかもしれない。彼等には、社会に出てから必要とされる力を、学園祭という絶好のチャンスを利用して手に入れてほしいと伝えたい。自分の得意なことだけを磨こうとして、不得意なことから逃げようとする、という考えも、学園祭を通して変わる。クラスでみんなそれぞれに色を持っている。その色をきれいに使うことができれば、とても鮮やかで美しい虹ができる。つまり、自分の得意なことを生かしてクラスに貢献し、自分の不得意なところはクラスの仲間に支えてもらいながら磨いていくことが大切である。「できない」と殻に閉じこもってしまうのではなく、「できる」ようになるにはどうしたらいいのか、自分ももちろん他人も客観視して、自分に必要なスキルを身につけていくべきだ。現代社会では、技術の発展により、AIが進化し、日常生活の中で応用されていく。AIを利用していく上でも、人間の力が必要とされているが、人間がAIに追い付いていけないというニュースを耳にした。学園祭を通して成長した私は、このような場面に直面しても、柔軟に対応できる力があると考える。学園祭は、自分を大きく成長させ、変化への第一歩を踏み出す、とても素晴らしい機会である。(高校3年生)
この二つの文章は、いずれも輝く「自分史」ですね。
未来への決意表明もあり、さすが高校3年生の蓄積はすごいと思いました。
学園祭という行事を「学びの場」として意識する、西遠の生徒たちはそういう姿勢で「未来を拓く女性」を目指しています。