作家の早乙女勝元さんが10日、90歳で逝去されました。西遠の中学2年生が必読図書として読んでいる「東京が燃えた日」の筆者として、本校では大変馴染み深い方です。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
12歳で東京大空襲を体験された早乙女さんは、「東京大空襲」「東京が燃えた日」「戦争を語り継ぐ」など戦争体験を聞き取り、また語り部として広める活動をライフワークにされていました。
早乙女さんは、西遠にご講演にいらしてくださったこともあります。昭和59年9月18日のことです。
穏やかな語り口調で、戦争の非情さを訴えてくださった早乙女先生。そのお話は、当時の生徒の心に静かに静かに浸透していきました。新米教員だった私は、学校誌「友情」の顧問だったことで、早乙女さんに直接お会いすることができました。とても緊張したこと、早乙女さんがとてもお優しい対応をしてくだったことを覚えています。ご来校の様子を伝える記事は、「友情」152号に掲載されています。
ご逝去の報を受け、私は図書館に早乙女さんの著作を確認しに行きました。机の上に早乙女さんが書かれた本を並べて写真を撮ろうとしましたが、とても乗り切らない数の本を出しておられるのです。東京大空襲にとどまらず、沖縄、満州、ヨーロッパ、アンネフランク、子育ての本まで…。
図書館の本棚を回って、生涯をかけて、平和な日本・平和な世界をつくることに精力的に取り組まれた早乙女勝元さんの熱意と祈りを改めて感じました。早乙女さんが強く望まれた平和な世界。早乙女さんからのバトンを、私たちはしっかりと受け継がねばならないと思います。 明日は、西遠の「殉難学徒慰霊式」です。早乙女さんの著作「東京が燃えた日」を読んだ中学2年生も、代表者が作文を発表します。早乙女さんが空の上から見守ってくださるような気がします。