絵本と冊子のお話

悲しい絵本

先日亡くなられた作家の早乙女勝元さんが、絵本を出していたと知り、すぐに注文しました。届いたのは、殉難学徒慰霊式が終わった夜でした。慰霊式の場で皆さんに紹介することはできませんでしたが、ここに内容を少し紹介したいと思います。

「猫は生きている」(作:早乙女勝元 絵:田島征三 理論社)という絵本です。1973年に発表された絵本で、子どもたちに戦争の恐ろしさや命の大切さを伝える本です。文字も多く読みごたえがある絵本で、物語が人間と猫の両方の視線で書かれていることが一番の特徴でした。舞台は戦争中の東京。東京大空襲の少し前から物語は始まります。「稲妻」と子供たちが呼ぶ野良猫が子どもを産み、戦時下ではありますが微笑ましい情景が続きます。しかし、東京大空襲の夜、これでもかこれでもかというように人間や猫たちに迫る炎、焼夷弾の雨…。題名の意味も含め、絶望と希望が入り混じったラストです。私は、健康診断で訪れた待合室で涙をぬぐいながら読み終えました。

この絵本は近々図書館の絵本の棚に入れてもらおうと思います。中高生に読んでもらいたい絵本ですので、ぜひ手に取ってください。

同窓会誌「そでし」

同窓会が毎年秋に発行している「そでし」という名の冊子があります。今年の秋に出る「そでし」の原稿依頼が来ました。私宛の封筒の中に、依頼のプリントと、原稿用紙、そして一冊の「そでし」が入っていました。

浅黄色の表紙の「そでし」52号を、手に取ってパラパラとページを繰ると、ちょっと前の私に再会できました。「巣立って5年」には、私が学年主任を務めた第66回生が6人、文章と写真を寄せています。それは、平成30年発行の「そでし」だったのでした。

「巣立って5年」の原稿を彼女たちに依頼した時のことを思い出します。大学院に進学した生徒、社会人としてスタートを切った生徒、それぞれに自身の近況を報告しつつ、未来を拓く決意を書いてくれていました。あれから4年がたちました。みんな元気でいるでしょうか。みんなコロナなんかに負けないで、自分の居場所で頑張れー! 懐かしい66回生にまた会いたいなとしみじみ思った夜でした。