小さな白板2022 第24週

小さな白板(ホワイトボード)、10月24日(月)からの第24週は、短歌を離れて、人々の言葉を紹介しました。やたら文字がいっぱいあって、立ち止まって読まないと頭に入ってこなかった人もいるかもしれないな、と思いつつ、良い文章・深い思考・新しいアイデアは、どんどん紹介していきたいなと、白板は文字でいっぱいの先週でした。

10月24日(月)
私は子どものままで死にたくない。だから私が大人になるまで戦争をしないで。戦争をさせない大人になるから。  MISIA(小学校時代の文集より)

歌手のMISIAさんは、長崎出身。日ごろから平和やLGBTQなどについての発言を毅然として行っている女性です。その姿勢は、小学生の時からだったのですね。彼女の意志の強さと行動力にいつも圧倒されています。あの抜群の歌唱力だけでも十分心ひかれる女性ですが、「戦争をしない大人になる」という言葉を実践すべく数々の活動を行っているMISIAさん、素晴らしいです。

10月25日(火)
ネットを一方通行の発信に終わることのない、活発で生産的な言論が行き交うパブリックな「場」にするためにはどうすればいいのか? これで万事OKというオールマイティな解はなさそうですが、僕は「親切」と「礼儀正しさ」が鍵になるような気がします。 内田樹

フムフム、鍵は「親切」と「礼儀正しさ」かあ・・と、この文章に出会ったとき思いました。ネット上の誹謗中傷が次々と問題視される昨今、内田先生のこの言葉は多くの人の共感を得て、各々が自分の行動様式を問い直すのではないでしょうか。

10月26日(水)
被害者だから静かに暮らさなければならない、笑ってはいけない、ではなく、色んな人を笑顔にしたり、自分らしく、一人の人間として生きていきたい。  五ノ井里奈

被害を訴えた勇気ある女性、五ノ井さん。彼女が取った行動が多くの人々の心を動かしました。 静かに支援の輪が、そして現状を打破しようという動きが、広がり始めています。 辛い思いも抱えながら、「何かを変えるために今自分が動かなくては」という断固とした意思を感じ、尊敬の念を抱きました。彼女のように強く生きる姿勢、周りを笑顔にしたいと言えるその姿勢を、心から応援したいと思います。

10月27日(木)
もし、「愛すること」と「理解すること」のどちらが大事ですか? と問われたら、わたしは理解することのほうに軍配を上げます。なぜなら、愛情は不安定なものですが、理解は基本的になくならないからです。   斎藤孝

「愛情」と「理解」の比較なんて、考えたこともありませんでしたが、斎藤さんの文章を読んで、納得できました。愛情は不安定だが、理解は基本的になくならない、確かにそうですよね。人間関係において、「理解」ということがとても大事なのだと改めて思いました。

10月28日(金)
不安を起点にしない。何事も喜びを行動の原点にしてみてください。すぐに世界が変わりますよ。    坂口恭平

東京書籍さんから届いた「国語」38号を読んでいたとき、坂口恭平さんの文章「師匠の見つけ方」で出会った言葉です。「不安」ではなく「喜び」を行動の原点に。挑戦しても成功しないかもしれないという不安より、挑戦できることへの感謝を原点にするという考え方です。大事な発想だと思いました。皆さんの生きるヒントになったらいいな。

10月29日(土)
十歳の時に十三歳のアンネに多くを学び、アンネに憧れたように、これからどうやって生きてどんな大人になればいいんだろうかとか、悩んでいるときにどうしたらいいかといったときの手がかりとして本というのはあるように思います。  小林エリカ

これは、この日(10月29日)の中学講堂朝会で紹介した文章です。

講堂朝会で紹介した本「少女は本を読んで大人になる」は、10人の女性がそれぞれ1冊の本を選んで、「読書会」をした記録です。

漫画家で作家の小林エリカさんが選んだ1冊が「アンネの日記」でした。10歳の時、読書でアンネ・フランクと出会った小林さんが、本とはどんな存在か述べているくだりを抜粋しました。生徒の皆さんには、読書の大切さをぜひ知ってもらいたいものです。

さあ、明日から11月ですね。最後まで夏服を着ていた生徒たちも、明日からは冬服で登校です。あまり一気に寒くならないことを祈りつつ…。