図書館入り口の「小さな白板(ホワイトボード)」、第28週の5枚を紹介します。
11月21日(月)
タイパなる言葉が広くはびこって歌からどんどんイントロ消えゆく 木村泰崇
2022年10月16日の朝日新聞「朝日歌壇」で見つけた短歌。「タイパ」とはタイムパフォーマンスのこと、つまり「かけた時間に対する効果」です。ネット社会では、ゆっくり音楽を聴くこともなくなり、インパクトのために(あるいは、自分の曲を聴いてもらうために)イントロなしの曲が急増していると言います。売れるためなら仕方ないのかなとも思いますが、何とも味気ない、芸術性の低い話です。タイパ、コスパ、…価値とはそれだけで測れるものでしょうか。
11月22日(火)
サラームとおはようさんが混じり合い列伸びていく朝のバス停 山瀬佳代子
昨日と同じ朝日歌壇10月16日の作品。オーストラリアに旅立つ生徒たちもいますので、グローバルな社会を想像させるこの短歌を選びました。いろんな国の挨拶が交じり合うバス停、いいですね。西遠にも12月にオーストラリアから留学生が来ます。コロナ禍で中断した留学生の受け入れ、いよいよ再開です。日本語と英語が交じり合う生活にワクワクしますね。
11月24日(木) 先頭は渡りに長けたる一羽らし空に楔を打ち込む姿 春日いづみ
渡り鳥の隊列を空に見つけた作者は、その先頭を行くリーダーに想いを馳せます。そして、隊列が「空に楔を打ち込む形」に見えたのです。その強さ、たくましさ…。私は、この短歌を味わいながら、「先頭」に羽ばたき、鳥たちを率いているのが、「ニルスのふしぎな旅」のアッカ隊長に思えました。
11月25日(金) 暫く雲になりたい白いセーターと冬のひかりを着て街をゆく 荻原裕幸
白いセーターに冬の光をまとって街を歩いている作者は、しばらくの間「雲」になってふうわりとたゆたう願望を持っているようです。冬の日差しの柔らかさが心をほっとさせますね。そろそろ白いセーターが恋しい季節です。
11月26日(土)
湯煎したバターみたいになれますよこちらの日向でぼっこしましょう 岡野大嗣
日向ぼっこの誘惑! ああ、分かります。「湯煎したバター」みたいになれちゃうなんて、一緒に日向ぼっこしようなんて呼びかけられたら、拒めそうにありませんね。本当にまったりしそうです。朝、雷で目覚めましたが、その後日も出た26日でした。ぼっこした人、いますか? 湯煎したバターになっちゃった人、いますか?笑
まったりしたい皆様に、西遠紅葉情報です。
訪豪中の生徒たちは、ホストファミリーと過ごしています。ジャカランダの花に出会えたかしら?