毎年、地元「中野町煙火大会」が終わると、「ああ、夏休みもあとわずか…学校が始まるんだなあ…」と思います。
子ども時代、やはり地元の花火と祭りは、夏休み最大のイベントでありました。
夏休みの楽しみの大部分が終わってしまった、という脱力感だけでなく、花火の夜を境に、虫の声が聞こえたり、ツクツクボウシが鳴き始めたりして、秋の気配が色濃く感じられるようになるのです。
大人になっても同じで、世間で言うお盆(中野町ではその3日間が祭り)が終わると、集っていた人々が去っていき、疲れもどっと押し寄せてきて、ああ、今年も夏が終わったなという気持ちになるのでした。
今年は、台風10号の影響で、14日の花火が17日に延期されたため、「夏休み終わったな」感は3日ほど先延ばしになりました。
昨夜が「なかなかやるねぇ中野町煙火大会2019」でした。
天竜川の河川敷で打ち上げられる花火を、堤防の斜面の「桟敷席」で見物します。
天竜川の増水もあって、花火は尺玉があげられず、代わりに小ぶりだけれどたくさんの花火が上がりました。
今年の中野町煙火大会にはもう一つ思いがけないプレゼントがありました。
花火を楽しんでいる最中、天竜川の東岸の空に、17日目のお月さまがのぼってきたのです。
最初は赤い火の玉が、雲の中でぼ―っとにじんで見えるような月の出でした。
そのうち、お月さまの形もはっきり見えるようになり、私たちは花火と月の競演を楽しむことができたのです。
分かりますか?
花火の下方、対岸の街の灯の少し上に、ちょっと赤いお月さまがいます。
ナイヤガラの時には、こんなふうに赤いお月さまが浮かんでいました。
これが14日だったら、満月の前夜の月はもっと早くに出ますから、こうした景色は見られなかったでしょう。
延期されたからこそのサプライズの光景でした。
お月さまがまるで特等席から花火を楽しんでいるかのようにも見えました。
中野町の総力を結集して打ち上げられる花火は、午後9時の打ち止めで終わります。
今年は「終」の文字ともお月さまがコラボしてくれました。
地元の夏の風物詩が昨夜こうして終わりました。
夏がゆくなあ、としみじみ思いながら家路につきました。
さあ、今日からは気分も新たに秋バージョンの日々が始まります。