小さな白板2023 第16週

ゴールデンウィーク中の「小さな白板」第26週は、図書館入り口でひっそりと(笑)。でも、掃除の時に、声を出して読んでくれる中学生もいたので、「おお、白板、忘れられてない!」と嬉しかったです。

5月1日(月)
まだ手にしていない自由と平和を、隣国やつらい立場の人々とともに創造していこう―。そう考えて日本国憲法を読み返すと、『こんなに役立つ憲法はない』と思えてきます。  藤原辰史

5月3日の「憲法記念日」に合わせ、5月の白板は『日本国憲法』に関する言葉からスタートしました。日本国憲法をどんな立場に立って読むかという「新たな視点」を、京都大学人文科学研究所准教授の藤原辰史先生が説明してくださっています。藤原先生はおっしゃいます、「隣国」「つらい立場の人々」と共に歩んでいくために、この憲法はとても役立つ、と。改憲こそが今の世の中の動きだ、という声高な主張に惑わされず、落ち着いて憲法を読み解きたいですね。世界の中で生きる力を獲得しようとしている西遠生の皆さんにも、そうした読解力や判断力を身に付けていってほしいと思います。

5月2日(火)
児は歌ふ「ちいさいひごひはおとうさん」いかにも父は風に揺らぐよ    黒瀬珂瀾

黒瀬珂瀾 (くろせからん)さんの短歌には、よく幼児が登場します。歌集「ひかりの針がうたふ」には、お父さんと子どもの対話、お父さんから見た子どもの成長を歌った短歌が多くて、この白板でも何度か紹介させてもらっています。お子さんが歌う「こいのぼり」の歌、本来は大きな真鯉のはずのお父さんが「ちいさいひごひ(小さい緋鯉)」にされちゃいました。お父さんの戸惑いと妙な納得が短歌から感じられますが、従来の「お父さん像」に当てはまる生き方を疑問なく選ぶより、「風に揺らぐ」お父さんの姿が生身でいいなあ、すてきな親子だなあ、といとおしくなる一首です。

5月6日(土)
エメラルドグリーンの春にターコイズブルーの夏が添い寝している   五島諭

5月の爽やかさは、いいですね。ゴールデンウィークはちょうど春から夏への移行時期でもあります。そんな季節を二色で表した短歌。エメラルドグリーンとターコイズブルーという2色を「添い寝」という言葉で同居させている感覚が素敵だなと思いました。若葉の緑と空の青。今日は雨の一日ですが、5月のカラーを心で満喫しませんか?