図書館入り口に掲げた「小さな白板(ホワイトボード)」、夏休みも近づき、夏のにおいがいっぱいするような短歌を集めました。
7月18日(火)
七月は動く歩道のスピードで気づけば夏の真ん中にいる 水野葵似
夏の到来という7月の印象を、作者は「動く歩道のスピード」でやってくると感じました。さらに、気づいたらもう自分は「夏の真ん中」にいると。いつの間にこんなに「真夏」になっちゃったんだ?という戸惑い、この7月に感じた人も多いのではないでしょうか?
7月19日(水)
眠る子らアリスの国の奔放な時計の針となる熱帯夜 山添聖子
前日18日はものすごく暑くて、廊下に出るだけでも話っとするような一日でした。「熱帯夜」という言葉をキーワードに、朝日のライブラリーでこの短歌にたどり着きました。山添聖子さんは、二人のお子さんと共に毎週のように朝日歌壇に短歌が掲載される常連さんです。この短歌は、まだお子さんが小さい時の2015年9月13日掲載の作品です。子育てのさなか、奔放な寝相のお子さんたちにアリスの時計の針を連想する、お母さんならではの視点に共感しました。
7月20日(木)
ひとふりで四ひきのセミ逃げてゆき少年たちの夏が始まる 唐崎安子
セミ捕りの子どもたちの乱暴な網の振り回し、豪快な空振りが微笑ましいなと思います。セミのけたたましい鳴き声や少年たちに「わーっ」という歓声まで聞こえてきそうな短歌です。2021年9月5日朝日歌壇に掲載された短歌。コロナ禍の中でも少年たちはたくましく走り回っていたのですね。そのエネルギーがいとおしいです。
西遠の「セミの木」も相変わらず超満員です。掃除中にこの木の存在に気づいた生徒たちから、ギャーッ気持ち悪ーい!という声も聞こえてきました。
7月21日(金)
爽快と大きく書いてみたくなる雨が洗った七月の朝 久保智子
前日の水遊び大会の生徒たちの弾けるような笑顔が私の脳裏にくっきり残像となって刻まれています。水遊び翌日、この短歌を掲げました。
夜中の雨ではないけれど、この日の暑さを吹き飛ばすような豪快なホースのシャワーや水を飛ばす様々な玩具が大活躍、中にはバケツを振り回す生徒もいて、まあ、上級生はもちろん中学生までびしょぬれタイムを味わった姉妹交流会でした。まさに「爽快」でした。(帰宅後、おうちの選択タイムには多大なご迷惑をお掛けして、ご家族の皆様、すみませんでした!)
公式ブログには、高校3年生の片付けの様子まで取材されています。リーダーたちの振る舞いもまた「爽快」でした。
7月22日(土)
セミの声ななめに浴びて歩いてく進路懇談会は二時から 松田わこ
朝日歌壇2016年8月1日掲載の短歌です。汗を拭き拭きセミの大合唱の下を歩いて、午後の進路懇談会に歩みゆく高校生の姿が見えてきますね。日傘をさしたお母さんたちの姿も目に浮かびます。西遠生たちの夏の三者面談も、高校3年生などはすでに始まりました。この短歌に共感する人も少なくないでしょう。うだるような暑い夏ですが、自分の進路としっかり向き合う季節でもあるのです。
作者の松田わこさんもまた、朝日歌壇の常連さんです。お姉さんの梨子さんの作品も来週登場予定です。