「小さな白板(ホワイトボード)」第28週は、夏休み直前の月・火の二日間です。
7月24日(月)
草むらに自転車を乗り捨てたときそこだけ映画の真夏になった 千種創一
土手や草むらに自転車を乗り捨てるシーンって、結構映画やドラマにありますね。あの勢い、あのパワー。現実にやってみたら、そこだけ真夏を思わせる映画のワンシーンのように感じられたのでしょう。「あれ、ちょっとカッコイイな、自分」って思ったかもしれません。セミのミンミンいう声が聞こえてきそうな短歌です。
7月25日(火)
夏休み長いねと言う大人たち短いと思う夏はあといくつ 松田梨子
夏休みを愛おしんでほしいなあと思い、授業納めの日に掲げました。
大人にとって子どもたちの「夏休み」はとてもうらやましい長さです。それを「短いなあ」と思って過ごす夏休みはあと何回あるんだろう。大人になりたいような、なりたくないような、少女の素朴な思いがここにあります。朝日歌壇2011年9月5日掲載作品です。作者の松田梨子さんはもう成人しています。今はもうきっと、子どもの夏休みの長さをうらやむ側にいるのでしょうね。