「西遠学園祭2023」を振り返る 3

10月7日・8日に開催された「西遠学園祭2023」を振り返るシリーズ、第三弾は、ある制作物ができるまでをご紹介し、そこで培われる力について考えます。

「イルカのことを知ってイルカい ~人間とイルカの動的平衡~」と題して、イルカの生態や現状、人間とイルカとのかかわりについて調べた高校1年星組では、イルカのスノードームを巨大制作物として、教室中央に配置しました。

青い海の中にいるような教室の中央に、躍動的なイルカが一頭跳ねていますね。このイルカ一頭ができるまでを写真で追ってみましょう。

9月初旬から、その制作は始まっていました。段ボール製の骨組みが少しずつイルカの形になっていきます。

そして、骨組みの上から、段ボールがかぶせられます。お腹側もしっかり作り上げ、そして、その上に白い紙が貼り詰められて、色塗りが始まりました。丁寧な作業が続きます。

そして、遂に、イルカの目が入ります!クラスメイトが見守る中で、真剣な筆遣いでイルカに命が吹き込まれたのでした。

優しげなまなざしのイルカが出現し、教室の仲間から拍手が起きました。

しかし、このイルカ一頭の完成で終わるのではありません。彼を中央に据えてスノードームを作り上げます。計算を繰り返しながら、スノードームが作られていきました。

こうして、4年星組の巨大制作物が出来上がりました。当日は、特に子供たちに大人気! 夢のある空間を作り上げることに成功しました。

女子校の学園祭でなぜ巨大制作物を作り上げることに挑むのか。岡本肇前校長は、女子校だからこそ、大きな制作物を作ることを生徒たちに課しました。その伝統が今も西遠の学園祭を彩っています。

男女共学の高校では、女の子は細かい作業を担当し、大きなものを作り上げるのは男子の担当…ということはないでしょうか。大きいものを作り上げるのはどちらかというと苦手という女子が、西遠でも少なくありません。しかし、それをあえてHR展の課題にすることで、生徒は決して他人事ではいられなくなります。各クラスでは、何をどう作るかの話し合いが繰り返され、計画性を持った協働作業が始まります。21世紀型スキルの「創造とイノベーション」「批判的思考・問題解決力」「コラボレーション」などが確実に育っていくのです。

HR展で巨大制作物をつくることは、各クラスにとって一番の課題です。それを解決していく力が、西遠生にとって大きな達成感や自信となっていくのです。今年も、鍾乳洞や鳥居、ヨットや新幹線など、ダイナミックな制作物がお客様をお迎えしました。それぞれのクラスで、制作物が完成するまでには、失敗もあり、挫折もありのマル秘エピソードがあることでしょう。

お近くに西遠の卒業生がいたら、「HR展で何作った?」とぜひ聞いてみてください。宮殿から動物まで、いろんな答えが返ってきて、思い出話が始まること、間違いなしです。