小さな白板2024 第6週

「小さな白板(ホワイトボード)」も春めいてきましたよ! 第6週のラインナップをお届けします。

2月5日(月)
四十雀(しじゅうから)の会話のような囀(さえず)りに空どこまでも晴れて立春
         石井裕乃

立春の翌日の白板です。立春の2月4日も翌6日も青空が広がったのに、これを掲げた2月5日は大雨。ちょっと恨めしいお天気でした。 2023年3月12日の朝日新聞でこの短歌に出会い、「会話のような囀り」にうんうんと頷きました。立春の空は今年も青かったです。

シジュウカラは私の大好きな鳥。「シジュウカラは文法を持っている鳥です」と、このブログでも繰り返し書いてきましたが、本当に「会話」しているような「さえずり」です。そして、遠くまでその声は響き渡ります。凛とした朝の空気の中ではなおさら遠くまで響きます。鳴き声を聞きながら、どこにいるのか探して空を見上げることもしばしば。ピーツピ、ピーツピと鳴いてはあたりを見回している姿を見つけることができると、とても幸せな気持ちになるのです。

私は囀りに幸せを感じるばかりでしたが、シジュウカラを研究している鈴木俊貴先生は、その鳴き声から意味と文法を調べ上げ、世界に発表したのですから、すごいですよね。

2月6日は、高校入試のため、白板はお休みでした。

2月7日(水)
早春のりんと響ける風のなか白梅ひとつ、ふたつ咲きおり
       富田睦子

白梅の花を毎朝愛でながら正門に立っているので、この短歌に出会ったときは、私の心の中を歌ってくださったようにさえ感じました。

この梅は、今、自転車置き場(東)になっているところにあったおうちから移植されて、正門の西で咲いている梅です。そのお宅の門の脇にあった頃、教員用駐車場から学校まで歩きながら、梅の花の季節になると、毎朝花に出会うのがとても楽しみでした。お宅の主が亡くなり、その後、西遠がその土地を購入して自転車置き場にすることになりました。
梅は、今は場所を変えましたが、元気に咲いています。この梅の歴史を少しでも知る者として、その花に今も出会えることは、とても嬉しいことなのです。

2月8日(木)
花過ぎし水仙の黄を切り落としいちづなる葉のみどりを残す
       篠 弘

この頃、私の周りには、白いスイセンが多いので、黄色いスイセンの写真はブログを頼りに2017年までさかのぼって探し、こちらの写真を見つけました。

花瓶に挿した水仙でしょうか。黄色い水仙の花が終わって、花を切り落とした後の茎と葉の緑。水仙の葉の緑は、作者に「いちづ」に映りました。確かに、水仙の葉の緑は鮮やかです。花が終わっても緑を残して、緑を主役にして愛でる作者の優しさを感じました。

2月9日(金)
優しさにひとつ気がつく ×でなく○で必ず終わる日本語
        俵 万智

昨日のブログで紹介した「マルハラ」について、句点がハラスメントと映るなんて心外だなあと思っていたところ、俵万智さんが旧ツイッターのXにこの一首を発表しました。「マルハラ」に対してというより、句読点を使うのは「おばさん構文」だということに対して、スマートに、そして鮮やかに返した短歌です。

俵さん、本当にすごい! 日本語は、〇で終わる、それが優しさだと。発見してくださってありがとうございます。句点も読点も大事にします!日本語の優しさの象徴だと確信を持って…。