小さな白板2024 第7週

図書館入り口の「小さな白板(ホワイトボード)」、3連休明けの12日から17日までを振り返ります。今週は実力テストや受験に臨む生徒に向けての応援歌からスタートしました。

2月13日(火)
どんなたいへんなことがおきたって
きみのあしのそのしたには
とてもとてもじょうぶな「ばね」がついているんだぜ
    「ぼよよん行進曲」より(作詞:田角有里・中西圭三)

「ぼよよん行進曲」はEテレの「おかあさんといっしょ」から生まれた名曲です。受験生やそのお母さんたちの応援歌になっているとも聞いて、ちょっと冒頭の歌詞を書いてみました。この白板を見て、歌い出してくれた生徒いるかしら? 
♪ ぼよよよーんと空へ 飛び上がってみよう ♪
皆の足の下に丈夫なばねがあるんですよ。いろんな障害も、諦めないで飛び越えていきましょう!

2月14日(水)
愛(あい)はまた愛(かな)しとよむ字深まればあいもかなしもひとつに溶けて
      安部知子

バレンタインデーなので、愛についての歌を白板に書きました。朝日歌壇2016年2月14日に掲載された短歌です。愛はかなしと読む。深まれば一つに溶ける。うーん、深いなあ…と、この歌に出会ったときに思いました。生徒の皆さんは、実力テスト当日でしたので愛どころじゃなかったかもしれませんが…。

2月15日(木)
冬のあひだにちひさい芽からはじまつて 芽つて目だよね みひらいてゐる
  渡辺松男(2023年第59回短歌研究賞)

そうか、「芽」は「目」なんだ…。なんだか、木の芽たちがエネルギッシュな理由が分かったような気持ちになりました。渡辺さんの短歌には、小さなものへの静かな慈しみがいつも感じられます。

2月16日(金)
花散里が 一番好きと 笑みし友 和服の似合ふ 母となりぬる
      宮村瑞穂

今年の歌会始のお題は「和」でした。この歌はその入選歌のひとつです。作者の宮村さんは石川県の30代の方です。

「花散里(はなちるさと)」は、「源氏物語」に登場する女性です。源氏が愛した女性の中で上品な花散里が一番好きだわと言っていたお友達が、今、和服の似合う上品なお母さんになっている…。この歌に、十代から続く友情の美しさを感じて、温かい、それこそ和やかな気持ちになりました。三十一文字の中に、友との歴史と未来とを感じさせますね。生徒たちも西遠でそういう友情をはぐくんで、一生の友人を得ていくのでしょうね。

今年の大河ドラマ「光る君へ」は、その「花散里」も登場する「源氏物語」の作者 紫式部が主人公です。今までにない、たおやかなドラマですね。物語の展開も音楽も素敵なので、ついつい引き込まれて見ています。亡き父は、最後の最後まで「僕は再来年の紫式部の大河ドラマを楽しみにしているんだよ」と話していました。その頃「鎌倉殿」に夢中で「光る君へ」には何も期待していなかった私(国語の教師なのに…)よりも、父の方が今年の大河ドラマの可能性や魅力を見抜いていたのだなあと「いやあ、父には勝てないなあ」なんて思いながらの視聴です。

2月17日(土)
もう少し暖かくなったら目をさまし海に帰るかな上野のくじら
      萩尾望都

「短歌遠足帖」より。「短歌遠足帖」という本は、歌人の東直子さんと穂村弘さんがゲストと共に散歩したりどこかを訪ねたりしながら、短歌を作り合う本です。上野公園を歩いた日のゲストは、「ポーの一族」で有名な漫画家 萩尾望都さんでした。「上野のくじら」とは、国立科学博物館前のシロナガスクジラのオブジェのことです。
東京は今週とても暖かかったので、もしかしたらもう目を覚まして海へ帰っちゃったかしら…。

暖かかった日本列島。今日は、白梅に続いて開花した西遠の紅梅の花をどうぞ。ちょうど昨日の「日本のいろ日めくり」が「蕾紅梅」という色でしたので、トリオで掲載します。