小さな白板2024 第11週

図書館入り口に掲げている「小さな白板(ホワイトボード)」、音楽コンクールで始まり、特別行事日で終わった、年度末も近い一週間を振り返ります。

3月11日(月)
合唱の朝練昼練放課後練息の仕方が生き方だった
       丹羽祥子

この日は、西遠の中学音楽コンクール。コロナ禍の間、2020年は中止、2021年から2023年はボディーパーカッションだったので、「合唱」が戻ってきた久々の大会でした。西遠の卒業生は皆、この「音楽コンクール」に賭けた日々を思い出として持っています。朝も昼も放課後も、家でもいつも歌っていたなあと懐かしく思い出すのです。そんな気持ちがわかる短歌はないかしら、と探していたら、2020年7月12日の朝日歌壇に掲載されたこの短歌を発見。畳みかけるように、練習の日々を歌い上げ、「息の仕方が生き方だった」という、ある意味壮絶な練習状況でまとめる迫力ある短歌です。再開された「合唱」本番への日々はどうだったのだろう? 中学生たちにそこまでの張り詰めた日々があったのだろうか? などなど想像しながら、中学生へのエールを込めてこの歌を書きました。

3月12日(火)
どんどん頼めばいいんだ
世話になるのは当然なんだ
迷惑をかけることを怖れるな
 山田太一 脚本「男たちの旅路」第4部

 「車輪の一歩」より 
 主人公吉岡司令補の台詞

ハッ!

はっ! 私、一時間違えてますね。「頼れば」ではなく「「頼めば」が正解です。ごめんなさい。

山田太一さんが昨年亡くなり、彼のドラマが改めて注目されました。この「車輪の一歩」は、車椅子の青年たちが登場する回で、ガードマン会社の人々がその対応に苦慮するところから始まります。主人公の吉岡司令補(鶴田浩二)が、その若者の一人に向かって言った言葉がこの台詞です。遠慮して、人に頼ろうとしなかった彼らに、「迷惑をかけることを怖れるな」と言った吉岡の言葉は、このドラマの放映当時(1979年)からよく覚えています。衝撃的な言葉でした。このドラマを通じて、障害を持つ人々への対応が社会的に大きく変わったとも言われています。社会を動かすほどの力を持つドラマ、その一歩は、間違いなく山田太一さんの丹念な取材にあります。

3月13日(水)
人生って僕が思っているより ずっと濃くて、 たくさんのものが入る器なんだなって思えて。その器をパンパンにしていくことが、生きるってことなのかなって。
 「らんまん」6月14日放送より 
  波多野(前原滉)の言葉
   (脚本 長田育恵)

朝ドラ「らんまん」には、すてきな台詞がたくさんありました。ドラマを見ながら台詞を書きとるのは結構大変でしたが、録画を何度も巻き戻しながらチェックしたのが、この台詞です。人生って…というこの言葉、なんだかとても優しくて、誠実で、温かい言葉でした。
波多野は、主人公万太郎の研究仲間であり、一生の友。小学校も出ていない万太郎の歩みを見ていた波多野が、人生について初めて気づかされたのでした。
皆さんは自分自身の人生の器について、どう思っていますか?

3月14日(木)
あんたはあんた自身のためにここにいるんだから。いつだって自分の機嫌は自分でとること
  「らんまん」6月8日放送より 
  まつ(牧瀬里穂)の台詞
  (脚本 長田育恵)

前日に続いて「らんまん」より。今度は、万太郎の妻になる西村寿恵子に対して、お母さんが語った台詞をどうぞ。
誰の人生でもなく、自分の人生なのだから、自分の機嫌は自分でとりなさい、というお母さんの言葉が、ヒロインの心に響きました。
明治期の女性がどのように自身の道を貫いていったのか、女性が自分の気持ちを大事にして歩むことが困難だった時代だからこそ、子の幸せを想う母の言葉として身にしみる台詞です。

3月14日(金)
一人で大丈夫って思えるのは、一人じゃないって分かった時なんだなって。
  「いちばんすきな花」より
  春木椿(松下洸平)の台詞
  (脚本 生方美久)

昨秋放映されたドラマ「いちばんすきな花」に出てくるのは、二人になるのが苦手な男女4人。人間関係を円滑にするために自分をだましてそつなく振舞うことって、果たしていいことなんだろうか?と考えさせられたドラマでした。
白板では、主人公の椿さんの言葉を紹介しましたが、ひとつに絞れないほど、いい台詞がたくさんありました。音楽も切なくて、思わずサントラ(写真)を買ってしまったオオバです。この音楽をかけながら運転すると、とても優しい気持ちになるのです。

第11週は、火曜から台詞集でした。ドラマや映画に素晴らしい台詞がたくさんあります。皆さんの心に残る台詞はどんな台詞ですか?

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【今日の野鳥】ツグミ:今季初めて学校で撮影できました。地面をつんつん歩いています。