小さな白板2024 第15週

6学年が揃った新年度の学園で、「小さな白板(ホワイトボード)」は静かに図書館入り口にいます。昨年度の図書館掃除担当の姉妹リーダーは、集合時に毎日この白板を読み上げていてくれたのだそうです(うれし涙)。今年のリーダーさんにも引き継がれると良いなあ良いなあ良いなあ(木霊)。
さて、今週は、月曜が中学入学式の代休でしたので、火曜スタートです。

4月9日(火)
わたしが木なら笑ひ出しさう樹のなかをくすぐるやうにみづはながれて
         千葉勇作

なんてチャーミングな短歌でしょう。生命力に満ち溢れているのに、全然尊大な感じがしません。親しみやすい、隣の木、という感じでしょうか。この短歌に出会ったとき、樹木の中を流れる水の音まで聞こえたような気持ちになりました。

代休日の4月8日、雨は午後まで降らない!という気象情報を信じ、花博2024のはままつフラワーパークへ、母とあさイチで向かいました! 桜は満開、木によっては桜吹雪も舞う中で、青空はなくても美しい花々に囲まれ、幸せな気分を味わいました。この木たちの中にも、水は流れているのですね、そう考えると、目の前に花を咲かせている桜の木々もとてもかわいらしく目に映ります。

もちろん、温室にも足を延ばし、自然科学部の「花歴書」読んできましたよ!私たち親子の他にも、花歴書の前に足を止めている人がいて嬉しかったです。新聞で知った人かな?

4月10日(水)
幾年(いくとせ)の 難き時代を 乗り越えて 和歌のことばは 我に響きぬ
     敬宮 愛子内親王

この歌は、今年の「歌会始」で愛子様が詠まれたものです。千年の時を超えて、和歌は現代を生きる私たちの心に響いてきます。ちょうど大河ドラマ「光る君へ」でも和歌を詠む場面が多々登場しますね。平安時代の歌と作者の思いが、千年後に書籍や古典の授業、百人一首などで鑑賞されている、そして現代の人の心を揺さぶっているなんて、本当に壮大なことだと改めて思いました。

4月11日(木)
言葉は、考え、感じて、表現するための力。言葉にならないものは、分からないとしか言いようがないでしょう。つまり、言葉は世界を理解する道具であり、基礎学力の根幹なのです。
      金田一秀穂

言葉の力ってとても大きいのです。言語学者の金田一秀穂さんが、新聞広告の中でこう述べているのを読み、うんうんと頷いていました(2024/1/15産経新聞)。
そして、今話題の朝ドラ「虎に翼」でも、BSの「舟を編む」でも、言葉にすることの大切さが一つのテーマになっていますね。特に、辞書編集の現場を描いた「舟を編む」では、言葉の深さ・大切さが徹底的に(しかもあたたかく)描かれていて、毎回はっとさせられます。
生徒の皆さん、言葉は、「世界を理解する道具」、そして、「基礎学力の根幹」なのですよ! ココとても大事です。

4月12日(金)
つばくらめ風を切りこみ風を飛び風の切れ間をはみ出してくる
        阿部芳夫

ツバメが舞い飛ぶ季節がやってきました。先日、民家の軒先に2羽のツバメを見つけ、ああ、巣作りを始めようとしているのだなと思いました。
この短歌は、昨年夏に朝日新聞の「朝日歌壇」で出会ったものです(朝日歌壇2023年7月9日掲載)。ツバメの疾走感あふれる飛び方が、目に浮かぶような短歌ですね。目の前の情景をこうして五七五七七にできるって素敵です。

4月13日(土)
「政治的無関心」とは、日本や世界の命運を誰かに「おまかせ」にすることでしょう。確かに、政治的な出来事をフォローし、考えを深めるのは面倒といえば面倒です。でも、恐れるのは、その面倒を省き「おまかせ」に慣れきってしまううちに、自分で考え、自分で決めるという回路が錆(さ)びついてしまわないか、という点です。

東京新聞2024年1月28日社説より

白板の大きさにこの字数が収まらなかったので、やむなく一部を省きましたが、この日の講堂朝会スライドには、中略なしでの紹介をしました。

「無関心」や「おまかせ」であってはならないということを、私たち大人は若い世代に何度でも訴えていかなくてはならないと思っています。そういう思いを込めて、生徒会活動を推進していく生徒たちに向け、この言葉を紹介しました。
今、武器の輸出や共同親権など、「無関心」「おまかせ」でいたら将来取り返しがつかなくなるようなことがどんどん決まっていっています。知ること、考えること、そして自分の意見を発することを、子どもたちに求めるだけでなく、私たち大人も範を見せていかなくてはなりません。

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学園では、ツツジが咲き始め、鳥たちもにぎやかです。花と鳥をどうぞ。