恒久平和のために ~殉難学徒慰霊式~

本日、全校生徒が講堂に集い、「殉難学徒慰霊式」が行われました。

毎年、慰霊式の朝は、生徒たちが花を持参して登校します。

生徒が持ち寄った色とりどりの花を、図書館下の一角で、中高生徒会執行部や先生方がプランターに活けます。これも慰霊式当日恒例の光景です。

慰霊式は、4時間目に行われました。中高生徒会長による「私たちの平和宣言」は、殉難学徒慰霊式の継承から、世界平和まで、5つ発表されました。足元の平和を守ることと、地球規模の平和を目指すこと。それが西遠生の目指す「平和」への誓いと実践です。

私もまた、「恒久平和のために何ができるのか考えよう」と呼びかけました。今、戦争の足音は決して遠くではないところから聞こえてきています。「戦後」という言葉を使い続け、「戦後79年」が80年、100年と続くようにするには、私たちはどうしたらよいのでしょうか。もろいかもしれない平和という土台を、私たちは必死で守っていかなければならないのだとお話しました。

司会は、高校生徒会中央補佐です。司会者からは、舞台を装飾する「折り鶴製の花々」のデザインとその意味についても紹介がありました。そして、今日の式の意味や意義について、司会が全校生徒に幾度も訴えかけました。

この慰霊式を締めくくるのは、学年代表による「平和の作文」発表です。全校生徒がしたためた「平和の作文」を、今日は代表生4名が読み上げました。

曾祖母の戦争体験を取材した中学1年生は、曾祖母の「今の子は十分すぎるぐらい勉強できていいね」という言葉に、戦争中の高校生が勉強もままならない状態であったことに思いを馳せました。

「被爆アオギリと生きる――語り部・沼田鈴子の伝言」を読んだ中学3年生は、沼田さんが被爆者として語り部を務めただけでなく、世界を回って戦争の加害者の一人として詫びたという生き方を知り、戦争について分かった気でいたことの恥ずかしさと無責任を感じたと言います。

高校1年生は、岩波ブックレット710「ホロコ-ストを次世代に伝える: アウシュヴィッツ・ミュ-ジアムのガイドとして」を読んで、差別について考え、西遠生として平和教育をもっと行動に移していこうと決意しました。

高校2年生は、高橋源一郎著「ぼくらの戦争なんだぜ (朝日新書)」を読み、支配のために使う「大きな言葉」ではなく、市井の人々の個人的な経験で使う「小さな言葉」に注目しました。「小さな言葉」こそが、戦争の真実を静かに伝え続けているのだと、彼女は気づき、「小さな言葉で大きな平和を築こう」と訴えかけました。

今日の慰霊式を、静岡第一テレビさんや中日・静岡の各新聞社さんが取材してくださいました。平和を祈り、平和を発信する西遠生たちの姿が、テレビや新聞を見た人たちに届き、たくさんの方が平和について考える「きっかけ」になることを願います。