図書館入り口に掲げた「小さな白板(ホワイトボード)」。テストが近づき、放課後図書館3階で自学に励む生徒も増えてきました。白板、見てくれているかな??
5月13日(月)
ベランダをつばめの親子に明け渡し洗濯物はちまちまと干す
近内志津子
5月10日から16日は「愛鳥週間」です。ツバメの巣ができたベランダでは、洗濯物を干す人間がツバメの親子に遠慮しています。愛鳥週間にふさわしい短歌を選びました。朝日歌壇、2023年7月9日に掲載された短歌です。皆さんの近くにツバメの巣はありますか?
5月14日(火)
戦争をその手にさせるな 教科書に縦長ハートを書く白い手に
千葉 聡
西遠では、「殉難学徒慰霊式」が行われるこの日、白板にも平和を願う短歌を書きました。国語の先生である千葉聡先生の短歌は、若い世代が歩む未来への思いにあふれています。大人として、若者たちを戦争に駆り出すわけにはいかない! 私もまたそう強く思っています。新しい戦前にしてはいけないという気持ちです。
5月15日(水)
たいらかに山法師ひらく清里の音楽堂にテノールをまつ
河野小百合
「短歌研究」という冊子でこの短歌に出会ってから、ヤマボウシが咲いたのを確認したらこの短歌を白板に書こう!とずっと決めていました。
都会の喧騒とは無縁の避暑地、清里。そこに、平らかに咲くヤマボウシ。とても清楚な感じがします。そんな清里の音楽堂で、作者をはじめとする聴衆は、静かな高揚感のうちにテノール歌手の登場を待っています。こんなに素敵な場面の切り取り方ができるなんて…と、この短歌に出会ったとき、胸がキュッとしました。
山梨県の清里は一時期、若者であふれた時期がありました(ちょうど私が大学生の頃でした)が、今はとても静かで穏やかな場所になったと聞いています。子どもたちが中学生の頃だったか、一度、一家で訪ねたことがありました。その時も、小さなホテルで音楽会が行われていました。もう一度ゆっくり訪ねたい土地です。
5月16日(木)
旅なんてちょっとでよくてまだ押したことないエレベーターの階とか
山田 航
そうか、旅なんてよそ行きの服に着替えて大きな荷物を持って出かけなくてもいいんだ、とこの短歌に出会って思いました。まだ降りたことのないエレベーターの階のボタンを押してみるだけで、日常とは違う場所・空間に行けるのです。生活の中にエレベーターがない人も、帰り道ひとつ前の角を曲がってみるだけで、それはもう「旅」なのかもしれません。
5月17日(金)
歴史は繰り返さないが、韻をふむ。
磯田道史
ゴールデンウィーク中に見た磯田さんへのインタビュー番組で、彼の発したこの言葉が強く心に響きました。よく「歴史は繰り返す」と言いますが、「繰り返すのではなく、韻を踏むのだ」と歴史学者の磯田道史さんは語っていました。パフィーの歌詞を例に出しながら「韻を踏む」を説明していた磯田さん。確かに、と納得しながら番組を視聴したので、皆さんにも紹介したいなと思って、白板に書きました。歴史は韻を踏む…、生徒の皆さんはどう感じますか?
5月18日(土)
生い立ちや、信念や、格好で切り捨てられたりしない。男か女かでふるいにかけられない社会になることを、私は心から願います。いや。みんなでしませんか?しましょうよ!
猪爪寅子(「虎に翼」主人公)
今週の〆は、朝ドラ「虎に翼」の主人公 寅ちゃんの言葉にしました。ちょうど一週間前の5月10日放送回で、女性として初めて高等試験(今の司法試験)に合格した主人公が、記者の質問に答えた大演説の一節です。この日は、ドラマを見て拍手したり涙が出たり、とても忙しい15分間でした。願うのではなく、しましょうよ!と呼びかける主人公に、視聴者はどんなに力強くうなずいたことでしょう。男女の垣根を超えて、このドラマは多くの人の共感を生んでいます。主演の伊藤沙莉さんもとても素敵です。ドラマはこれから太平洋戦争へと突き進んでいきます。時代に翻弄されながらも主人公が強く生きていく姿が、これからも視聴者の心をぐっとつかむでしょう。
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土曜の午後、図書館三階でも、ベンチでも、テスト前の自学に励む生徒たちの姿が見られました。
高校バレー部の皆さんは、今日は試合です。頑張ってくださいね! 応援しています。