道徳「サヘル・ローズさんの言葉」

今日から中学生も2日間の日程で定期テストです。テスト前日の21日、1時間目は中学1年生の道徳でした。

最初に、OECDのグラフをみんなに配りました。日本の15歳がいかに「孤独」を感じているのか、それが、世界各国と比べとても多い数字だということをグラフで確認しました。そのうえで、「じゃあ、孤独じゃなくなるにはどうしたらいいのかな?」と呼びかけました。今日は、一冊の本から、「新しい考え方」「生き方」のヒントをもらいます。

その本が、サヘル・ローズさんが編集・執筆した「支える、支えられる、支え合う」(岩波書店)です。

その中から、サヘルさんが書いた一節を私が朗読しました。生徒たちには、「気になった言葉や考え方があったら、プリントにメモしてね」と言って、サヘルさんの生い立ち部分から読み始めました。

生徒は真剣に聞いてくれています。聞き入っている生徒もいれば、熱心にメモを取っている生徒もいます。

それぞれが感想を持ったところで、グループになってもらいました。いつもの「協同学習」です。じゃんけんで司会者を決め、司会者がグループ全員の「印象に残ったところ」を聞きました。

気になったところ、みんなそれぞれ違います。小学校時代の体験を話す子もいました。みんな違う人生を歩んできたのですから、体験したことも違います。考え方は違って当然。この話し合いは、ある意味「自己紹介」でもあります。

司会者には、グループで出た意見の中から、一番心に残ったことを発表してもらいました。

みんな、一生懸命答えてくれました。 他のグループの意見にもしっかり耳を傾けていましたね。

「いつか」「誰かが」行動するのを待っていてはダメ、「今」「あなたが」行動しなくちゃ、というところに突き動かされた人もいました。
「においで差別しないで、においはその人にとって大事な故郷だから。」という言葉に、驚いた生徒もいました。
「日本人は表情をあまり動かさないから、底が怖かった」というサヘルさん自身の幼い頃の感想が心に残ったという人もいました。
初めて知ること、今まで考えてもみなかったことに出会った生徒が多かったのではないかと思います。

「普通」って何だろう?誰かの普通に自分をあてはめなくても大丈夫、という言葉もありましたね。「孤独」を感じる若者が多い日本の現状を変えていくために、自分たちにもできることがあるはず…。ものの見方や考え方を少し変えるだけで、世の中は住みやすくなるし、人々の笑顔が増えるのではないでしょうか。

サヘル・ローズさんの言葉に触れて、今日からこうしてみようという決意が、中学1年生の胸に灯っていたらいいなと思います。感想は、テストが終わってから提出してもらうことになっています。サヘルさんのこの本、テスト後の図書館で借りてくれる生徒がいたら嬉しいです。