5月25日の高校講堂朝会では、「ヨシコとトモコとエリカと憲法」というタイトルで三淵嘉子さん、猪爪寅子さん(朝ドラ「虎に翼」の主人公)、赤根智子さん、吉田恵里香さんという4人の女性と憲法の話をしました。その感想を、提出された集会記録から少しご紹介します。
三淵嘉子さんの生き方
◎私は、今日まで三淵嘉子さんなどの人がどういう事をした人なのかもそもそも誰なのかも知りませんでした。今を生きている私達からすればまだ少しの女性差別が残っているところはあるものの、どんな職業であっても努力すればつくことができる様になっているし、平等な社会になってきているからそのようなことには興味を持ったことは微塵もなかったからです。しかし、今回で新しいことを始めることは、世間からのあたりも強いし、認めてくれることなんてそれよりも難しいことだから、それがどれだけ大変なことかわかりましたし、何よりその人達のような人たちがいたから今いろんな職業につくことが出来きている女性がいるので、ありがたいなとも思いました。三淵嘉子さんは弁護士という職につくことに成功しました。司法試験に合格することができても女性は弁護士になることができないのに対し、男性はそこから職業を選ぶことができるという差があったけれど、嘉子さんは戦後、裁判官の職につき家庭裁判所で働きながら原爆裁判にも参加し、アメリカによって落とされた原爆の被害者遺族たちの賠償金をアメリカが条約によって払うことができなくなったので、日本政府がなんとかすべきという訴えの裁判を8年間という長さで行いそれにも参加し活躍されたということも知って、いままでの環境を打破し女性が活躍できる場所を増やしてすごい人だと思いました。(高校2年)
◎今回の講堂朝会で最も印象に残ったことは、三淵嘉子さんの「人間のために」という信念についてです。現代の私達は、ある思想が出てくると、それまでの考えをすべて否定して、新しく出てきた考えに依存することがあります。現に、男女平等を掲げるうえで、逆に女性が優遇されすぎてしまうことや、女性側が傲慢になりすぎてしまうことがあります。しかし、三淵さんは決して、女性側の立場として被害者ヅラをするのではなく、真の平等を理解し、男女という性差をこえた、「人間」という区分を大切にしていたことに、私は尊敬の念を持ちました。先駆者(パイオニア)となる人として、戦後の日本には多大なる影響を与え、かつ、今よりも権力の弱かった女性たちにとって、三淵さんの功績や行動は大きな光になっていたのだと思います。(高校2年)
猪爪寅子(とらちゃん)の生き方
◎女学校を卒業したら結婚するというThe当たり前の道に進むことに対して疑問をもっていた寅子は法律を学ぶ道を選んで、「私は地獄の道を行きます。」と宣言したと知り、わぁーかっこいいーって思いました。みんながみんなテンプレートにそった当たり前の道を進まなくてもいいんだって改めて思いました。校長ブログにのっていた寅子のセリフは力強くてかっこよく、心にささるようなものでした。校長先生がいうように、今を生きている人々にも感動を与えてくれるスピーチだなぁと思いました!(高校2年)
◎今回の校長先生のお話を聞いて胸が熱くなる言葉が沢山でてきた。その中でも、1番印象に残っている言葉は、猪爪寅子さんが言った「法改正がなされても結局、女は不利なまま。女は弁護士にはなれても裁判官や検事にはなれない。男性と同じ試験を受けているのにですよ?女ってだけで、できないことばっかり。生い立ちや、信念や、格好で切り捨てられたりしない。男か女かでふるいにかけられない社会になることを、私は心から願います。」という言葉だ。法改正がされても現実社会は男女不平等なまま。この不平等社会が染み付いた現実社会を変えられるのは、男女共に同じ考えを持つ人が増えることだと感じた。今まで当たり前だった日常を変えることに対し拒絶反応することは少なからずあると思う。しかし、それを受け入れていくことで良い社会や住みやすい社会になっていくのだと思う。少なからず、女性が法の道に進んだことで法改正という第1歩に繋がっていったのかなとも感じた。
また、男性と同じ試験を受けているのに女は裁判官や検事になれないことの不平等さに対する猪爪寅子さんの怒りも理解できた。不平等さに対し声をあげることができる寅子さんの強さに勇気をもらった。どんな相手にも間違っていることをはっきりと言える姿が素敵に感じた。
彼女達が生きた時代は、女性には学問など必要なく、結婚して家庭にはいるのが当然とされ、差別や偏見などがあった。その中でも、自分達の信念を曲げず男性にも負けず突き進んでいく力に時代を生き抜く力を感じた。そして、誰も通った事のない茨の道を切り開いて進む事の大変さと根性と信念がなければ新しい道は開かれない事を知った。また、その信念に続く者が、切り開いてくれた方達の道をもっと大きく太い開かれた道にして続きていくのだと感じた。私は、彼女達が歩んできた壮大な人生に衝撃を受けたと同時に、彼女達の魅力に心を奪われた。どんな事をするにも先駆者が歩んできた道は平坦な道ではないはずだ。しかし、そこにあえて飛び込む勇気と信念が新たな道を切り開くのである。そして、確実に私達の時代へと続く道のりとなり、また私達が次世代へと道のりを繋げていかなければならないと感じた。(高校1年)
赤根智子さんの生き方
◎智子さんの「裁判官は仮に一人が死んだとしても替えが利くものですから」という言葉に衝撃を受けました。私は今までの人生の中でそのような覚悟で何か物事に取り組んだことがないため、驚いたと同時に「怖くないのかな」という気持ちになりました。ですが、大庭先生のブログに載っていたニュースの動画での智子さんのインタビューを見て、その気持ちのブレが一切ないように淡々と話す様子から、やはり覚悟や目指しているところ、感じている責任などがレベルが違うのだなと感じました。智子さんのインタビュー、とてもかっこよかったです。智子さんのような立場の人が、こんな思いをする出来事・戦争がなくなることがもちろん一番ですが、そのような出来事・戦争が起こっている現代の社会で、くじけずに強い意思を持って生きている人がいるのだということを忘れないようにしたいです。そして、私もそんな人になりたいです。(高校1年)
◎赤根智子さんのことは全く知らなくて、今回初めて名前を聞きました。ICCがプーチン大統領に逮捕状を出しているのは知っていたけれど、そのせいでロシアから赤根さんが指名手配されていることや、最近ネタニヤフ首相とハマスの幹部に逮捕状を出したことは知らなくて、とても驚きました。しかも、それを赤根さんはなんとも思っていなさそうなのが、自分のことより周りのことを優先する自己犠牲の精神や強い正義感が垣間見えて、とても意思の強い人間として立派な方だと思いました。自分が害を被ることを顧みず仕事をするなんて普通はしたくてもできないのに平然と言ってのける赤根さんはすごいと思いました。(高校2年)
◎赤根さんの「裁判官は仮に一人が死んだとしても替えがきくものですから」と弱気になることもせず、むしろ考えを変えるつもりはないというような正義感や責任感に、私も校長先生と同じように圧倒されました。強い女性という言葉では表しきれない、彼女の姿に心から敬意を覚えました。(高校2年)
吉田恵里香さんの生き方
◎吉田恵里香さんは素晴らしい考えをもった正義感の強い女性だと感じました。吉田恵里香さんの言葉の中で私の心に突き刺ささったのは「声を上げること、口に出して言葉にすること」ということです。今パフォーマンス大会に向けて練習をしているところですが、練習していくにつれて不満や意見、提案など多くのことが出できます。それを言わないことで喧嘩も起こらず平和にまとまると思っていました。この考えが間違っている訳では無いと思うのですが、自分がより良くなるためのことを我慢することでイライラする人も意見が合わない人もいます。その中で声を上げることの必要性を吉田恵里香さんの言葉を聞いてはっとさせられました。そのあとのパフォ練習の際は言い方を考えて分厚いオブラートに包んで意見を言いました。そしたら、私が意見を言ったことで「ありがとう」といってくれた子もいてこれが正解だったのかなと思いました。全員が納得いくものは作れないかもしれないですが、協力して話し合ってクラスの一人として作り上げていきたいです。私は今回のお話を聞いてこれからの人生において必要となってくる責任感、正義感、など人生の先輩である方々の生き様や言葉を聞いたことで学ぶことがたくさんありました。すぐに正義感を持つなど難しいと思うので少しずつ、毎日の生活の中で自分のペースでを成長させて行けたらいいなと思いました。(高校2年)
◎印象に残っているのは、吉田恵里香さんの「声をあげることを否定してしまうと「しめしめと思うひと」たちがいっぱいいる」という言葉です。私は、この考え方に深く共感しました。世の中には、ヒエラルキーというものが確実に存在していて、誰しもが対等に発言したり、力を持ったりすることは極めて難しいと考えられます。実際に世界を見渡してみれば、蔑ろにされてしまっている民衆の主張などどこにでもあります。ただ、「塵も積もれば山となる」ということわざがあるように、小さな一歩がいつか世界を大きく変えるきっかけになることはありますし、逆に言えば、その小さな一歩をなくして、世界を変えることはできないと思います。少しでも、声に出してみること・自分の意見を伝えてみること・アクションをおこすこと、これらは普段の生活の中でも大切にしていきたいことだと思いました。まだまだ男性優位の社会構造をしている日本のなかで、女性たちが輝くためには、自身の意欲と強さが必要不可欠です。そのことを「ヨシコとトモコとエリカ」は世の中に証明していると思います。「女性は口数が少ない人のほうが好感が高い」「女が男より頭が良い必要はない」などと言って、好感ばかりを気にする人もいるようですが、私は、「女性として」の生き方よりも、「一人の人間として」どうしたいか、どんな人生を歩みたいかを大切にしていこうと思います。(高校2年)
◎吉田恵里香さんの、「自分の権利を奪われないためにも、声を上げていこう」という言葉や、憲法12条の「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」とあるように、知識を蓄えて心がけていくだけではなく、声を上げていくことで、先人が苦労して手に入れた女性の権利を維持していこうと思いました。これらが私が今回のお話で感じたことです。将来、きちんと女性の権利を声に出して主張できるように今はしっかり勉学に励みたいです。(高校3年)
選挙権を得て
◎私は18歳の誕生日を迎え、ついに成人となりました。先日行われた静岡県知事選挙にも行き、初めての選挙でワクワクした気持ちになったとともに、投票という権利を得たことで、国民としての責任を今まで以上に重く感じた気持ちにもなりました。権利とは、自分の意志によって自由に決めることができるものですが特に選挙に関しては一人ひとりが自分の意志をしっかりと持って臨むことが必要不可欠なのだと私は思います。吉田恵里香さんの言葉にあったように、「声を上げること、口に出して言葉にすること」こそが今を生きる私たちに託されていることであり後世へ守り継ぐべき行いでもあると感じます。私は正直今まで政治に全く興味を持ったことがなく法律を学ぶ意義について考えたこともありませんでした。しかし、今回の朝ドラや校長先生のお話のおかげで法律を知ることのおもしろさや奥深さ、大切さに気づくことができたので、今後は世の中の出来事や様子に積極的に関心を持ち、法律や権利を意識した生活を送ることができるようこれからも絶えず様々な学びを大切にしていきたいです。(高校3年)
それぞれ4人の女性に分けて各学年の感想&選挙権を得た高校3年の感想を紹介しました。生徒は本当に自分事として考えてくれています。女性として、人としてどう生きるかを、西遠生は着実に深めています。