主権者として

西遠では、「生徒会活動」こそ「主権者教育」の根幹だと考え、私は生徒に「生徒会会員」としての自覚と責任を持とうと呼びかけています。西遠に育つ「未来の主権者」たちは、生徒総会で勇気を出して「質問」をしたり、執行部として一つ一つの活動の意義を問い直したりして、生徒会活動を「自分事」として感じ始めています。

4月、最初の講堂朝会で私は全校生徒に「踏み出す一歩」と題して、生徒会活動を自分事として捉え、参画して、学園生活の向上を目指すように訴えました。生徒たちは、しっかりとその訴えを受け止めてくれました。ここに紹介するのは、講堂朝会の感想をまとめる「集会記録」にあった生徒たちの感想です。

私は今まで役員認証式を他人事として考えてしまっていました。特に今回は、自分が役員ではないので私にはあまり関係ない事だと思っていました。ですが、「役員が決まったということは自分たちで役員を決めた」ということ。という言葉から役員を決めた一人として、他人事ではなく自分事として責任を持って考えていかなければならないなと思いました。役員でないわたしだからこそ役員をしっかりサポート、支えていきたいと思いました。「おまかせ・無関心」はやめて未来の主権者として臨むようにしたいです。改めて生徒総会の意味を考えるいい機会になりました。後輩に頼られる先輩になれるように自分が苦手なことにも積極的に挑戦して、頑張っていきたいなと思いました。(中学2年生)

生徒会活動の話では、自分は生徒会の一員としてどのように貢献できるのか・活動していくべきなのか、について改めて考えました。中学生の頃は、自分が生徒会に属している、という自覚があまりなく、執行部の人たちの言う通りにしていれば良い、というイメージがありました。しかし昨年度、校則が大きく変わったことや、自主規制の継続審議期間となったことに伴って、生徒全員が、明確な意見や意思を持つことが今まで以上に求められました。なぜ校則が変わったのか、なぜ結果として継続審議事項は見送られたのか、など、私達は常に自分が通う学校の、集団のなかの一員としての考えをもち、その考えには責任感を持たなくてはなりません。選挙=単なる多数決、ではなく、最も重要なのは、「なぜそう考えるのか」であると思いました。とりあえず生徒会の活動に参加する・選挙に行ってみる、ではなく、自分がもつ、考えるという権利を思う存分利用して、なにか思うことがあるのであれば、意見箱を活用してみたり、勇気をもって執行部に質問したりすることが、私ができる正しい生徒会への参加の仕方だと思いました。(高校2年)

未来の主権者たちは、確実に育っています。

そして、こんな感想もありました。

今回、お話を伺ってまず初めに気持ちが舞い上がりました。それは、私が有権者になるからです。私は、四月に誕生日を迎え、十八歳になり、選挙権を手に入れることができます。そのため、今度、行われる静岡県知事選に参加することができます。今まで、私の意見を政治に反映させる事ができないというもどかしさがあったので、初めて、自身の思いをはっきりさせ、主権者として思いを伝えられる喜びでいっぱいになりました。どの方にすれば静岡県を盛り上げ、より良いまちにしてくれるのかしっかり吟味して、一票を投じたいと思います。

5月26日の静岡県知事選挙の投票率をご存じでしょうか。県選挙管理委員会によると、今回の知事選の投票率は52.47%で、3年前の前回選挙に比べて0.46ポイント低かったそうです。その県知事選挙において、西遠の18歳の投票率は、100%でした。これは誇っていい数字だと思います。西遠の高校3年生で18歳になった者は、この感想を書いてくれた生徒をはじめとして、全員が静岡の未来のために一票を投じました。また、卒業したばかりの大学1年生たちも、「私は不在者投票に行きました!」「投票しました!」と来校時に報告してくれました。卒業生もまた主権者としての責務を果たしたことを本当に喜ばしく思います。

主権者として「選挙」にどう向き合うか。西遠の在校生も、卒業生も、真剣に考えてほしいと思います。先日、旧ツイッターで信じられない言葉に出会いました。ある学校の司書の方が、もうすぐ18歳になる生徒に「もうすぐ成人になるから、選挙権だね」と言ったら、その生徒が「行きません。今、若者の選挙離れが進んでいるから」と答えたというのです。自分が選挙に行くか行かないかを、世の中の流れで決めるの? その生徒にとって、しょせん選挙は他人事なのですね。悲しくなりました。

明後日7月7日は、東京都知事選挙です。都知事選の投票率ってどのくらいなのだろう?と思い、調べてみました。東京都選挙管理委員会事務局のHPに、歴代の投票率が出ています。それによると、戦後一番高かったのは昭和46年4月11日の72.36%、前回4年前は55.00%でした。今回はどんな数字になるんでしょうか。7月7日だから、投票率77%を目指そうと訴えている人もいます。そうなったら、戦後最高の投票率です。また、7月7日は七夕だから、投票用紙は願いをかなえる「短冊」だという素敵な発想も。さらに、期日前投票を済ませた人が「未来を変えてきました」と呟いています。そう、投票は、未来を変える行動です。誰かの動かす未来を待つのではなく、自身の力で未来を変える。それこそが「エージェンシー」ですね。 

東京にお住いの卒業生の皆様、七夕にはどうぞ「投票」という主権者の責任を果たしてください。西遠からたくさんの「未来の主権者」が都民の皆さんの「未来を変える力」を見守っています。
#投票はあなたの声 私の携帯に貼られたシールの言葉です。