小さな白板2024 第27週

7月になりました。図書館入り口に掲げた「小さな白板(ホワイトボード)」もすっかり夏色に染まりました。

7月1日(月)
白樺の匂ひの染みた便せんに託してみたき一瞬がある
       小佐野彈

白樺の匂いの便せん、と聞いただけで、避暑地の爽やかな空気を感じることができます。そんな便せんに自分の思いを託したい一瞬…誰かに手紙を出したかったのでしょうか。作者の中に清涼な風が吹いて、誰かに無性に何かを伝えたい衝動にかられたのかもしれませんね。

7月2日(火)
塀を越えぽとりぽとりと散りしける石榴の花の朱(あけ)のまぶしさ
       小柳素子

柘榴の花の朱色は本当に鮮やかです。塀の向こう側の柘榴の木から、赤い花がポトリポトリと落ちる光景は、きっときっと美しかったことでしょう。この短歌に出会ったとき、かつて中京そでし(同窓会の中部支部)で伺った名古屋の住宅街に咲いていた柘榴の花を、夢のように思い出しました。

7月3日(水)
晴天と空いっぱいに書き出せば身体は夏の呼吸し始む
       鶴田伊津

晴れた空に向かって大きく伸びをするような、解放感を感じる短歌に「朝日歌壇ライブラリ」で出会いました。

若い生徒の皆さんならこの短歌に直感的に共感できるのではないかしら、と思い、7月の晴天を待ってこの短歌を白板に書きました。

夏の青空、良いですねー。セミが鳴きはじめたのに気づいたのも、この日でした。

7月4日(木)
笑っちゃうような暑さの交差点おしゃれな陽炎ってあるのかな?
       小野田光

暑い!とにかく暑い! え?38度? それこそ「笑っちゃうような暑さ」ですね。暑い夏、遮るものがない交差点。陽炎が立つほどの暑さの中で、都会に似合いそうなおしゃれな陽炎ってあるのかな?と思考を巡らす作者に、お茶目さを感じました。

7月5日(金)
親の手を払って海へ駆ける少女 波、雲、鳥に呼びかけながら
       千葉 聡

少女が親の手を振り払って海辺へと全速力で駆けていく情景に、少女の迷いのない天真爛漫さを想像します。波にも雲にも鳥にも全身で「こんにちは!わたし、来たよ!」と挨拶しているようなスピード感と爽快感! うん、夏だ!

予約していた、千葉聡さんの「飛び跳ねる教室・リターンズ」が我が家に届きました。2010年に出版された「飛び跳ねる教室」に新しいエッセイや短歌を加えてこのほど発行された「飛び跳ねる教室・リターンズ」。初版発行は2024年7月7日となっています。なんと、明日です! わお、未来の本を手に入れてしまった!
「本は絶対最初から読む」という私の中の鉄則を破り、あとがきから読んでしまいました(注:あとがきも2つあります)。そして、今回の本の帯がすごい!俵万智さんの言葉に、心から共感します。私も、ちばさと先生の生徒になりたいです。

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本日午前の掛川・袋井の校区PTAを持って、今年度の夏期校区PTAが終わりました。お忙しい中、ご参加くださいました保護者の皆様に心より御礼申し上げます。